第八十一話 ページ32
,
凝り固まり体内に居座り続けていた心地の悪い熱が冷まされていく感覚を感じた
路地の冷たい地面に冷やされているのだろうか
浅い呼吸。入ってくる空気が何時もと違う。微かに薬の匂いがする
病院にまで連れられたか。だとしたら逃げるの、面倒だなぁ
「ーーーふふ、これが所謂デジャヴという奴かな」
アーモンドの形をした世界は白く、段々ハッキリと見え始め視界となる。体が少し軽いが動かし辛いのに変わりはなく、吐息も熱を孕んでいた
遠い声が確りと鼓膜を揺らして脳裏に響く
疎まれ乍らも高い評価を一身に背負う人の声だ
「お早う。気分は如何だい?」
「……最悪、です」
「そう、なら善かった」
何時もの本を片手に笑みを浮かべる太宰さん
嗚呼 確かにデジャヴだ。この目線からの彼は最初に見た
「最悪という事は少なからず生きている証だ
私が保障しよう」
「……これ以上無く、保障の安心度が違います」
「でしょ?」
「悪い意味で」
「あれぇ?」
頸を笑顔のまま傾げる太宰さん。少し笑えた
けれど満足に力は入らず、重い瞼が寝ろと諭す。気付いたのか、太宰さんが穏やかな笑顔で
「未だ治り切っていない。もう少し寝ていなさい
氷はもう緩いだろう?取り替えてあげるよ」
怖いくらいだ。何か見返りを求められそうで。
けれど病に伏せる人間とは存外警戒心も何も無くなる様で、その言葉を最後に警戒もせず眠りについた
「……国木田君、少し聞き込みに行ってくるよ」
「おまえが!?珍しいな……」
「非道いじゃないか、私だってやるときはやるよ
ーー何より、彼女程の人間がやられたんだから出るしかないよ」
また少し息の荒くなりつつある彼女を少し見つめてから国木田に任せ、早足に外へ足を伸ばした
668人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まるげりーた - え、終わり⁈名残惜しすぎます〜! (8月20日 19時) (レス) @page48 id: cea80c1fef (このIDを非表示/違反報告)
桜の下(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年5月8日 13時) (レス) id: 6dcf85fe6b (このIDを非表示/違反報告)
ふふふ。 - 面白いです!!最高です!!応援してます!! (2018年4月23日 20時) (レス) id: 02b15496d1 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - 六十五話、「ただ浮かんでいる」の後の「胎内」は「体内」ではありませんか?更新早くてすごく嬉しいです!長文失礼しました。 (2018年4月15日 20時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
冬霞 六花(プロフ) - 第六十八話の、「ギルドには、ボスが必要です」の処が「ギルドには、バスが必要です」に成ってますよ、長文失礼しました。 (2018年4月15日 17時) (レス) id: b8417422b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ