第五十二話 ページ3
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「あの、うぅん」
「如何したの?遠慮ならしなくて善い!
何せ国木田君のお金だしね」
「だから遠慮してるんです、判りません?」
目の前に出されたのは湯気を発し、熱々の如何にも出来立ての
鼻腔を擽る香りに艶めく白米。今の私、と云うか長らく思い出せなかった前世の感覚を思い出し、生唾を飲む。
その様子が可笑しいのかニコニコとこちらを見つめる太宰さん
「ほら、お腹空いてるんだろう?」
「うっ……頂き、ます」
銀のスプーンで軽くすくって、口に含む。
ブワリと広がったスパイスや辛味、懐かしい白米の食感。所狭しと転がった野菜達は口の中に入れて軽く噛めば、ホロホロと崩れ去る
少し普通よりも辛めなのか、舌が辛いと悲鳴を上げている。が、其処が善いと思う私はMなのだろうか
「っ〜〜……美味しい!」
「でしょ?私のお勧めの店なのだよ」
一ヶ月以上、腹八分目どころか五分目にもいかなかったし白米なんて殆ど前世振り。胃が驚かない様に少し慎重になりつつも珍しくがっついた。
少し大きく平べったい皿に盛られていた咖喱はゆっくりと、確実に無くなっていった
「ご馳走様でした……!!」
手を合わせてこれ以上無く心を込めた
腹は大体7分目まで満たされ少しだけ顔が綻ぶ
太宰さんがそれをバッチリと見ていて、少しの間呆然としていたが、直ぐに優しい瞳を見せた。
まるで誰かを思い出している様、なんて云わない方が善いか
「うんうん、女性は笑わないと」
「……なんかムカつきます」
「君は少し容赦というものをだね」
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まるげりーた - え、終わり⁈名残惜しすぎます〜! (8月20日 19時) (レス) @page48 id: cea80c1fef (このIDを非表示/違反報告)
桜の下(プロフ) - とても面白いです!更新頑張ってください! (2020年5月8日 13時) (レス) id: 6dcf85fe6b (このIDを非表示/違反報告)
ふふふ。 - 面白いです!!最高です!!応援してます!! (2018年4月23日 20時) (レス) id: 02b15496d1 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - 六十五話、「ただ浮かんでいる」の後の「胎内」は「体内」ではありませんか?更新早くてすごく嬉しいです!長文失礼しました。 (2018年4月15日 20時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
冬霞 六花(プロフ) - 第六十八話の、「ギルドには、ボスが必要です」の処が「ギルドには、バスが必要です」に成ってますよ、長文失礼しました。 (2018年4月15日 17時) (レス) id: b8417422b5 (このIDを非表示/違反報告)
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