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「絶対きれいじゃないし……その写真どうするんですか?……匂わすの?」
冗談でそう訊ねてみたけど、
「匂わすわけないじゃん」
目の前にある隆二さんの真剣な表情に思わず唇を閉じた。
「俺はAのことそういう扱いしたくないし。そんなさ、堂々としないくせにちらつかせるのは楽しいなんて関係、最悪じゃん」
「……うん」
「こうやって二人きりで過ごす時間は、二人だけの物にしときたいって俺は思うけどね」
いつになく強い口調に、私は黙って頷くしか出来なくて。
「みんなに見せつけたいならスクランブル交差点の真ん中でキスでもしてりゃ良いじゃん。それが出来ないなら1mmも見せんなって思わない?」
でも、強い言葉とは裏腹に、私の背中を撫でる手はとても優しい。
「好きな人のことを使ってファンの人煽って……誰が幸せになんのかなぁって。真剣に付き合ってたら、わざわざ周りが混乱するようなことしないでしょ。真剣ならね」
「……もしまた撮られたら?意図せず公になっちゃったら?」
「え?」
「そうなったら隆二さんはどうするのかなって……あ、違いますよ!認めてくれって意味じゃないですよ!否定して当然なんですけど、」
「なんで?そうなったら認めるよ、俺」
「……え?」
「こんだけ気ぃ使ってても撮られちゃったらもうそれは認めるしかなくない?しらばっくれてんのも白々しいじゃん」
「嘘だぁ……隆二さん前は撮られたら泣いちゃうって言ってた」
「わざと撮られるようなことはしないって気持ちは変わってないよ?でも、まさかそこで!?ってとこ撮られたら……じゃない?」
「……良いんだよ?お友達ですって言ってくれて。気にしないのに、私」
「俺が気にするじゃん。そうねぇ……彼女は大事な人ですって言う」
「嘘だぁ……」
「本当だよ?彼女は大事な人です。俺のことを支えてくれます──」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年2月5日 20時