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「隆二さんまた休むの？」

「うん」

ビーチベッドに寝転んだ隆二さんの隣に、私も体を軽く拭いて横になった。

追加の日焼け止めを塗ってる私の横で、隆二さんがあくびをひとつ。

「寝ますか？」

「うーん……何かお前と居ると眠くなるんだよなぁ。やだ？」

「ううん」

“お前と居ると安眠出来ない”って言われる方がショック。

「隆二さん寝ちゃうなら私あっちのプールとか散歩とか行って来ようかな」

「散歩？」

「うん。さっきヴィラの小道に葉っぱの模様見つけたんです。凄く然り気無く。そういうフォーシーズンズの建築哲学を見つけに行こうかなって。ロビーの床がどうしてあんなにピカピカ──」

「ん"ー……」

「寝たフリしないで！」

私が体を揺らすと、隆二さんはあはははは！と笑って私の手を握った。

「気を付けて行ってきてよ？何かあったら連絡して」

「はい」

「3時半までには起こして欲しいなぁ……」

「夜中の？」

「流石に風邪ひくわ！昼だよ！」

私は髪を束ねながら笑って隆二さんに近付く。

「3時半ね。分かった」

「いってらっしゃい」

小さなキスをして、私はまずプールに向かった。

プールから上がる度にソファのタオルを変えてくれるので、庶民の私は段々申し訳なくなってくる。

泳いで、上がって、体を乾かして、また泳いで────

一杯だけカクテルを貰い、次はヴィラの散策へ。

細かい装飾をじっくり観察しながら歩き、ヴィラに戻ったのは2時過ぎ。

「あれ？」

隆二さんは起きていて、机で何か書き物をしていた。

「起きてたんですか？」

「うん……さっき」

ホテルの便箋に真剣に何か書いている隆二さん。

「……作詞してる？」

私が訊ねると隆二さんは“しっ”と唇に人差し指を立てた。

“黙って”と言われたので、私は唇をキュッと結んで、隆二さんが書き物をしている机の上に

プルメリアの花をばら蒔いた。

「………」

片眉を上げた隆二さんが“ん？”と私を見上げる。