No.1510。10 (ページ18)

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海へ。ページ18

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「まだ昼なのに俺もうビール3杯目だぞ」

「“だぞ”って自分から飲んでるんじゃないですか」

部屋のプールの傍でビーチベッドに座り、私は笑い声を上げる。

3日目のこの日、隆二さんは中々起きられなくて私は彼が寝てる間にビーチ沿いのプールで涼んだ。

60m近くあるプールは海と一体化していて、気持ちが良くて

私はいつでも入れるように水着の上にコットンのワンピースを着て過ごすことにした。

そのあとスパに行き、おかげで年末の忙しさで浮腫んでいた足もスッキリしたけれど、その太ももには今、隆二さんの頭が乗っている。

「……ダメ人間になるな、これ」

「ねー？私もそう思う」

「……プール入ろ。暑い」

「あ！私も！」

ヴィラに備え付けのプライベートプールは、泳ぐほど広くはない。

そこに勢いよく飛び込んだ隆二さんを真似して私も飛び込んでみたけれど、思いの外深くて私は頭までドボンと沈んだ。

「おぉっ！」

隆二さんが私を慌てて抱き上げ、私は「はぁっ！」と息を吐いた。

「お、溺れるかと思った……」

「俺も。Aが一瞬消えたかと思った」

つま先立ちで顎を上げ、やっと息が出来る深さのプールで、私は隆二さんにおんぶされて腰を掛けられる段差の所まで連れていってもらった。

「あー！ここ海が一番よく見渡せるかも！」

プールの縁から覗き込めば、すぐ下は崖みたいになっていて、自分が空中にせりだしているような感覚になる。

「良いなぁ……ここ」

「良いなぁ……その水着姿」

「……隆二さん。私のことじとーって見ないで」

「すみません」

私は隆二さんに笑いかけたあと、海へと視線を戻した。

あの水平線から昇る朝陽と沈む夕陽は、物凄く綺麗だろうな。

私は朝陽が好きで、隆二さんは夕陽が好きで……

似てるようで違う二人。

暫くしてザバッと水の音がして振り向くと、隆二さんがプールから上がっていた。

“水もしたたる良い男”を地でいってる隆二さんの濡れた背中に、私は甘いため息をつく。