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私の中の闇は、あの場所に渦巻いてる。









「だからね、色々思い出すから行けないんです」









「だから、」









「隆二さん」









“それ以上言わないで”と、私は笑顔を作ってテーブルの上で隆二さんの手を握り、また首を横に振った。









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「それで!?喧嘩しちゃったの!?」









「ううん。喧嘩はしてないんだけど、何か変な空気になっちゃったって言うか……」









会社のデスクで純奈と話をしながら、私は椅子の背もたれに体を預け、天を仰いだ。









「何で隆二さん急にあんなこと言い出したのかなぁ……」









「一緒に行こうって?」









「そう……」









「それは分かんないけど……え、今日の飲み会行かない感じ?変な空気のままなんでしょ?」









「行く!それは行く!こういう時に逃げちゃダメなの!闇子は学習したの!」









「おぉー!流石アイアンマン!」









「純奈も居るしね。うん」









「そうだよ!私居るし。闇子VSジャマ子!見逃せないわー」









「だから修羅場にはならないって!」









純奈は肩を揺らして笑って「また夜ね」と会議室に向かった。









私は一人でまた、天を仰ぐ。









「山田さーん」









ん?と体を起こすと、事務の子が封筒の束を私の顔の前に出した。









「郵便でーす」









「ありがとうございまーす」









受け取った封筒を順番に見ながら、私はふと、その手を止める。









「あれ?これ荒木さん宛てじゃん」









大きな封筒に“荒木”の文字を見つけ、それだけを引き抜いてデスクに置き、









「……違う」









私はまた、封筒を手にした。









“荒木”の文字は、宛名ではなく差出人だった。









「荒木産婦人科医院……」









差出人、そしてその住所に、私の頭の中にレンガ造りの小さな病院浮かんだ。









小児科も掲げていたその病院に、私は小さい頃通った記憶がある。









ハサミで慎重に封を切り、私は中から白い便箋を取り出した。

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2019年2月5日 20時

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