No.1510。 (ページ8)

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明日は7時台の飛行機で東京に戻らなきゃいけない。

純奈たちの邪魔はしたくないし、この場所に居るのもやっぱり場違いな感じがして、私は荷物を持ち席を立った。

“明日早いからホテルに帰るね。グッズは持って帰って下さい。健太郎くんとごゆっくり”

ハートマークを連打したLINEを純奈に送り、私はそっとお店を出た。

けれど────

「えーっと……」

ここがどこなのか、全然分からない。

“昭和通り”と書かれたプレートが目に入ったものの、ホテルまでの道程は検討もつかない。

ならばとタクシーを捕まえようとするけれど、日曜日の終電後……何としても家に帰りたい人たちで溢れていて中々空車は来ない。

「どうしよう……電話して呼んだ方が早いかな……」

タクシー会社を検索し、何か目印になるようなお店や建物がないかキョロキョロとする私。

「あ、郵便局！」

向こうに“中央郵便局”の文字が見えた。

あそこなら配車のときに伝えやすい。

よし、と電話をかけようとした時だった────

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「タクシー、捕まんないですか」

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背中から声をかけられ、私は反射的に振り向いた。

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────そこに、隆二さんが立っていた。

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「俺、もう呼んでるんで乗ってきますか？」

「え？」

「さっき、居ましたよね？打ち上げ」

固まっている私を見て、隆二さんは少し眉をひそめ目を左右に動かした。

「え？……居ましたよね？」

「はい……」

「びびったー！全然知らない人に声かけたかと思った！」

ころころと転がすような声で、

隆二さんが、笑っていた。

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12月14日

隆二さんと、会いました。
本物の今市隆二さんに。