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今まで、どうやって好きな人に連絡してたんだっけな……。
ん〜、と部屋を見回して、私は「あっ」と手を叩いた。
棚に並んでいる、彼らの音源。
これを買いましたって連絡してみようかな……。
テーブルの上の携帯を手に取り、私は隆二さんに“アルバム聴きました”と短いメッセージを送った。
────でも、夕方になっても夜になっても隆二さんから返事はおろか既読さえ付かなかった。
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「………ん？」
その日の夜中、メッセージを送ったことへの後悔と共に眠っていた私を叩き起こしたのは、
他でもない隆二さんからの電話だった。
「………もしもし？」
“あ、もしもし。寝てた！？”
私は一旦携帯を耳から離し、時間を確認。
「1時じゃないですか……」
“寝てたんだ？ごめんねー”
電話越しでもお酒の匂いが漂ってきそうなほど、隆二さんの声は赤かった。
「後ろ、盛り上がってますね。飲み会ですか？」
“打ち上げ”
「打ち上げ……」
“今ね、札幌”
「あ、ライヴだったんですか！」
既読がつかなくて当然だ。
「お疲れさまでした」
“ありがとございまーす”
そのとき、電話の向こうの隆二さんの後ろで“誰に電話してんの？”と同じような赤い声が聞こえた。
“こないだ言った子だよ”
────こないだ言った子。
隆二さんは一体、誰に私のことをどう言ったんだろ……。
“Aちゃんさぁ”
「は、はい」
“1日は何やってんの？1月1日の夜”
「１日は家でボーッとしてる予定です」
“じゃあさ、うちの新年会おいでよ”
「うちの？」
“そう、うちの事務所の”
「いや……それは……」
素人がああいう場所に行くと、壁にもたれているしかないことを福岡の夜に私は学んだ。
隆二さんには会いたいけれど………
「部外者が行ってもアレですよね……何て言うか……」
“何だよー嫌なのかよー”
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2018年7月24日 22時
