No.1510。 (ページ28)

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1人のイヴに。ページ28

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「おはよー………」

翌朝、目が覚めてリビングへ出ると部屋の中はガランとしていた。

「純奈ー？」

目を擦りながら作業台を兼ねたダイニングテーブルの椅子に座ると、そこにメモが1枚。

“メリークリスマス。スカート借りました。今夜は帰りません”

「………」

業務連絡みたいなメモ。

そのメモを読んでから、私は今日がイヴなんだと気が付いた。

「あ、そっか。純奈はデートか……」

昨日のことを話そうかと思ってたんだけど……

純奈は東京にやってくる健太郎くんとクリスマスを過ごす。

私は予定もないのに……休み。

「ふぁ～……」

あくびをしながらコーヒーメーカーのスイッチを入れ、私はテーブルに頬杖をついた。

そして、北側にあるキッチンの窓から淡く差し込む太陽の光をぼんやり見つめながら、昨日のことを回想する。

昨日の夜、名刺を渡したあと、隆二さんは「これから約束があって」と腕時計を見た。

時間が迫っていたのか慌てた様子の彼は、ポケットから携帯を取り出し「LINE、聞いても良い？」と少し首を傾げた。

私は頷いて、さっき渡したばかりの名刺の裏にIDを書いた。

彼からメッセージが届いたのは、それから２時間後。

“さっきは急にごめんね。おやすみ”

短い、メッセージだった。

───私は太陽の光を見るのをやめて、テーブルの上の携帯を手に取りLINEの画面を開いた。

“さっきは急にごめんね。おやすみ”

このメッセージを、私は何度読み返しただろう。

隆二さんからのメッセージの下には、私の“おやすみなさい”という返事が並んでいて

読み返す度に、眉間の辺りがこそばゆい感じがしてくる。

眉間を指でスリスリしながら、ふと思うこと。

────隆二さん、彼女いるかも。

昨日、隆二さんはシャンパン１杯と料理1皿でお店を出た。

デートの前、ちょっとお腹に何か入れる為にフラッと寄ったって感じが……凄くする。