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振り向くと、隆二さんは私のすぐ後ろにいて
いつもみたいに、守るように後ろから私を抱き締めた。
「ほら」
そして腕時計を私の目の前に持ってくる。
「時間」
「時間?」
「0時過ぎた」
「過ぎましたね……え?何かありましたっけ?」
「退院してから2週間過ぎた」
「え?……あ……あぁ!」
隆二さんはクスクス笑いながら、私をベッドに押し倒した。
「隆二さん、これも計算ずくで今日お祝いしたの?」
「どうかなぁ?でも流れとしては完璧じゃない?」
隆二さんが額をくっつけてきて、私は口角を上げたまま彼の瞳を見つめた。
「完璧。食事してお酒飲んでプレゼント用意して、今からこういうことするの……完璧です」
「でしょ?」
「うん!」
キスをした。
久しぶりに、彼の体重を体に感じた。
心から、彼が好き。
名前を呼ぶと“どうしたの?”って優しく聞いてくれる声が好きで
私はつい、彼を呼ぶ。
点と線を、いつまでも繋いでて。
今夜は一晩中、私と繋がってて。
まだ、独りでいきたくないから。
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────翌朝、朝陽の眩しさで目が覚めた。
太陽に照らされている隆二さんの顔が目の前にあって、
私はそっと、彼の髪を手で包む。
希望に満ちた1日になりますようにと。
「んー!」
軽く伸びをして下着とシャツを身につけた私は、朝の風を取り入れようとベランダの窓を開け
「あ!」
思わず声を上げた。
────雪椿の鉢植えに1輪、
真っ赤な花がついてた。
「咲いた……」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2018年5月23日 18時