4 side R ページ14
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Aが電話の向こうで“猫ちゃんだ”と楽しそうな声を上げた────
「猫ちゃん?猫が居んの?」
“ううん、四季のパンツ”
「は!?」
“ベランダに干してある四季のパンツ。猫ちゃんの顔がプリントされてる。可愛いんです。何て言うのかな、足の間に、”
「もう良い。その情報いらねぇし。大体、そんな見えるとこに干しちゃダメなんだぞ!四季に言っとけ!」
“見えないとこに干してある。私が無理矢理覗き込んで見てるの”
「お前……大丈夫か?」
“大丈夫!取り敢えず岩田さんに言っといて下さいね!”
「はいはーい」
電話を切って、居眠りしてる岩ちゃんの肩を叩いた。
「岩ちゃん、ちょっと良い?」
「何?どしたの?」
「四季と会ってないの?最近」
「うん、会ってない。ちゃんと会う時間ないんだもん」
大きな欠伸をひとつして、岩ちゃんは「あ〜」と首を回した。
「ちゃんと会う時間なくてもちょっと顔見せてやれよ」
「俺の体が空くの夜中だよ?夜中に会いに行くの?」
「そう。夜中でも早朝でも」
「それ、四季に迷惑じゃない?」
「迷惑って言われたら帰れば良いじゃん。明日も会える保証なんかないんだから、今日会えるなら今日会った方が良い。違う?」
「……違わない。隆二さんに言われると説得力あるし」
「でしょ?」
“さて、何時なら行けるかな?”と考えてるような表情の岩ちゃんの後ろで、臣が鼻唄混じりに髪をいじってるのが見えた。
「岩ちゃん、臣はご機嫌だね」
「あぁ、あれじゃん?トミと何か食いに行くんでしょ」
「また!?二人でグルメ本でも出すのかよ」
「オミトミシュラン」
「ぜってぇ参考にしねぇ」
声を潜めて岩ちゃんと笑いながら、俺はもう1度臣を見た。
頻繁に食事をしていながら、これといった進展なし────
付き合う前の、俺らみたい。
「どういう関係なんだろ……」
「え?何?隆二さん何か言った?」
「え?あ……猫。四季が猫飼ってる」
「嘘だろ!?聞いてないよ俺!今日絶対見に行こ!」
「……噛み付かれんなよ?」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2018年5月23日 18時