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「……ご飯？」
「そう、ご飯！私作るから！」
「……隆二さんは？」
「隆二さんは元々今夜は外で食べてくる予定だった。だから気にしないで良いよ！」
「……本当に？」
「本当！私の部屋で食べよ。愚痴も聞くし」
尖っていた四季の唇が段々と平坦に、そして上へと微かに持ち上がってきた。
「私、先に部屋に帰って料理作っとく！四季も仕事終わってシャワー浴びてすっきりしたらうちに来て」
「……行く！」
「よし！」
四季のことだから、病み上がりの私に気を使って岩田さんのことを相談してこなかったのかも。
でも、そんなの私が寂しい。
大っぴらには出来ない悲しいことや嬉しいことを打ち明け合う仲なのに。
「あ、A」
「ん？」
「マフィンも焼いて頂戴」
「かしこまりました」
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「───だからね、今夜は自宅に泊まります。四季、多分酔っちゃうだろうし」
買い出しを終えて自分の部屋に戻ってきた私は、ベランダで風に当たりながら、隆二さんに電話をかけた。
“何作るの？ご飯”
「ポットロースト。どんなのかよく知らないけど隆二さんから貰った料理本に載ってて美味しそうだったから」
“へぇ、何か名前からして手間かかりそうだな……”
「マフィンも焼いちゃう」
“俺は四季に妬いちゃう”
その言葉に私は吹き出した。
「何で妬いちゃうの？」
“妬いちゃうよー。四季はそこまでしてもらえてさー”
「隆二さんにも作るから。絶対」
“絶対な”
「うん！あ……近くに岩田さん居ますか」
“居るよ。電話代わる？”
「ううん！隆二さんからそれとなく言って貰えませんか。その……四季のこと。寂しがってるって」
“うん、分かった”
「四季、我慢してるのかなぁ」
私はベランダの柵に腕を預け、身を乗り出すようにして隣の四季の部屋のベランダを見た。
「……あ、猫ちゃんだ」
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2018年5月23日 18時
