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事務所についた私は真っ直ぐに経理のフロアに向かい、必要な書類を全て提出した。
不備がなければ、この１ヶ月“無給”という事態は避けられる。
「では、お預りしますね」
「宜しくお願いします」
隆二さんの言う通り、何の問題もなかった。
みんな明るく声をかけてくれたし、みんな手術の跡を見たがった。
変に気を使われることもなかったし、早速食事会の予定も出来た。
いつも通り、元通り。
私には何の問題もない。
そう、私には────
「岩田さんは昨日も仕事、今日も仕事。明日も仕事で明後日は知らないけど絶対仕事。絶対ね」
四季に、問題があった。
「忙しいんだ？岩田さん」
「そう！私このまま行くと“仕事と私どっちが大事？”って聞いちゃうつまんない女になりそう！」
四季は唇を尖らせて頬杖をついている。
大きな瞳のお陰で、ムッとした表情も可愛らしく見えちゃうけど。
「全然会ってないの？」
「会ってないの」
「そっか……寂しいね」
「夜1人なんだよねぇ最近。飲みに行ってパッと帰ってパッと寝ちゃいたいんだけど……A、まだお酒飲めないでしょ？」
「次の検査まではね……あ、トミちゃんは？」
「トミちゃん、ほぼ毎晩臣さんとご飯行ってる」
「……え！？」
私が目を離している隙にそんな感じに？
でもよく考えたら、お見舞いも二人で来てくれてたな……。
「え、何？二人は付き合ってるの？」
「そうじゃないらしいけど……でも週4で行ってる」
「臣さんも忙しいだろうに……」
「でしょー？臣さんは忙しいのにトミちゃんとご飯。隆二さんは忙しいのにAと半同棲……岩田さんは？」
「……四季、今日一緒にご飯食べようよ。私じゃ岩田さんの代わりにはならないしノンアルコールで付き合うことしか出来ないけど……ね？」
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2018年5月23日 18時
