3 side R ページ37
・
「椿姫っていう小説から来てるんだと思います」
「椿姫……何か聞いたことある」
「オペラにもなってる凄く有名なお話です。主人公の美しい女性、マルグリットはパリに住む高級娼婦で───」
マルグリッドは夜のパーティーのたびに椿を胸に挿していました。
そのためにいつしか彼女は、「椿姫」と呼ばれるようになります。
そんな彼女が贅沢三昧の生活を送っていた所、彼女の元にアルマンという若くて純粋な青年が現れます。
アルマンの正直な感情に戸惑いつつも、その誠実な愛にマルグリットは心を開くようになります。
アルマンの求愛に心打たれ、彼女も彼を愛するようになります。
しかしマルグリッドは、素直に喜べる状況ではありませんでした。
彼女は肺の病気に掛かっていて、残り数ヶ月の命だったのです。
弱りゆく自分の身体を少しでも華やかにするために彼女は胸に花を身につけた。
花は香りがするため、病気の肺には良くないのですが、唯一椿の花だけは無臭のために身につけられる花でした。
彼女は残された人生をアルマンと過ごす事に決めました。
娼婦と贅沢な生活を捨てて、郊外の田舎の村に住むことにしたのです────。
「ハッピーエンド？」
「ううん、突然アルマンの父親が二人の家にやって来るんです。 父親は、本当にアルマンの幸せを心から願ってるなら息子と別れてくれってマルグリットに言うんです」
「別れろ？」
「アルマンは由緒ある家系の出身だから“元”娼婦と付き合うことは許されなかった。マルグリッドは悩む……本当に好きだからです」
「……で？どうなるの？」
「マルグリットは嘘をついて、アルマンの元から離れます。今風に言うと“別に本気じゃないし。他にもっと良い人いるから！”みたいな」
「で？で？」
「アルマンはマルグリットが本心で裏切ったと思って彼女に復讐をします。マルグリットに向けて、当てつけみたいに別の恋人を見せびらかしたり」
「それで？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 948人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぽち。
| 作成日時：2018年5月23日 18時
