雪椿の頃。10 (ページ2)

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「ううん！私も隆二さんと居たいです！い、一度、母に聞いてみますね。退院後は実家に帰ることになってたんで」

「あ、それは大丈夫。もう許可取ってる」

「……うちの母に？」

「うん」

「いつ！？」

「病院の地下のレストランで。四季とコーヒー飲んでるときに、たまたまお母さんと出会して」

隆二さんは母に挨拶をし、ICUの件でお礼を述べ、暫く自分の部屋に住まわせても良いか訊ねたのだと言う。

「……準備……良すぎません？」

「だろ？」

「で？うちの母は何て！？」

「どーぞどーぞ！って。美人なお母さんだよねぇ」

どーぞどーぞ！……って、そういうもの？

「きょ、許可出てるなら何の問題もないですね！」

「うん。明日、夕方に仕事終わるから俺の部屋で待ち合わせね。大丈夫？」

「はい、大丈夫です！」

「よーし。あ！Aの好きな色、白と黒じゃん？他には？」

「他？他は……淡い水色と、淡いピンク」

「淡いのばっかり」

隆二さんはそう言って笑ってソファに座り、長い脚を大きく組んだ。

「どうしてそんなこと聞くんですか？」

「良いじゃん別に」

「良いけど……」

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翌日、退院の手続きを終えた私は、荷物をまとめナースステーションに挨拶を済ませてから１階へと降りた。

「あ、先生」

四季のお父さんを見かけ、私は小走りで駆け寄る。

「先生！」

「あ、☆さん！退院おめでとうございます」

「ありがとうございます。先生や看護師さんのお陰です。本当にお世話になりました」

「とんでもない。☆さんが頑張ったからです。決断から今日まで、よく頑張りましたね」

先生にそう言われると、あの日から今日までのことが頭に流れていって、言い様のない思いが込み上げてくる。

「退院しても無理しないように。１週間後、また検査のときに」

「はい」