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どうしようかと迷っていると、ソファの隣が沈み込み「日本人の方ですか?」と声をかけられた。
え?っと顔を向けると、
隆二さんが笑顔で座っていた。
「綺麗だなぁと思ってナンパしにきました。日本人の方ですか?」
隆二さんはニコニコしてるけど……
「……隆二さーん」
「どした!?てか、何か顔色悪くね!?」
「乗り物酔いです。暑いし……会えなかったらどうしようかと思って内心不安で……」
隆二さんの顔を見たら安心して疲れがどっと出た。
「でも会えて良かった……」
隆二さんの肩に頭を乗せ安堵の溜め息をつく私の髪を、彼は優しく撫でてくれた。
「ごめんごめん、空港まで迎えに行けたら良かったんだけど」
「ううん、大丈夫。撮影間に合わないと大変ですから」
「渋滞やばいからね、夜便じゃ心配だし」
はぁと息を吐き出し、私は隆二さんと指を絡めた。
そんな私たちを気にも止めず、ロビーでは人が行き交う。
「……日本のホテルのロビーじゃ絶対こんなこと出来ないですよね」
「俺も思った」
二人で目を合わせ微笑みを交わし合うと、あっという間に体のダルさが引いていく。
「よしっ、じゃあ部屋行くか」
「うん!」
エレベーターの中で、隆二さんは私にカードキーを渡した。
「これ、Aの分ね」
「え?同じ部屋?」
「当たり前じゃん!俺らそんな清らかなカップルだったけ!?」
「いやいや!お仕事だから隆二さんは隆二さんだけの部屋があるのかなと思ってて」
「その辺はちゃんと調整してますよー」
ニコニコとニヤニヤの間くらいの表情を浮かべる隆二さんに連れられ、私は部屋の中に入った。
「どうぞー。そこまで広くないんだけどね」
「ううん!広い!」
クイーンベッド、大きめのクローゼット、バスルームも広いし、何より────
「海が見える!」
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2018年3月29日 18時