a secret. ページ39
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「かゆいかゆい！」
頻りに目を擦るゆかりの手をガシッと掴んで止めた。
「かきすぎだよ！目薬ないの！？」
「ない！くっそー、花粉かよー！」
生物には春が来ているらしい。
「かゆいなー………あ、このオプションは？」
真っ赤な目のゆかりと旅行の手配の打ち合わせをしながら、早くその日が来ないかなぁとワクワクしていた。
「隆二さん来るの何時だっけ？」
「３時くらいかな？」
「………ねぇ、隆二さんと痴話喧嘩とかすんの？」
「何？いきなり。するよ、ちょこちょこ」
ぶつかったり揉めたりすることは、たまにある。
でもそれは、お互いを知らないからで
そして、お互いを知ろうとして
自分のことを知ってほしいからだ。
通りすがりの人と肩がぶつかっても、一瞬振り返って「すみません」と言い合うだけ。
だけど大事な人とぶつかったら「痛かったんだよ」って知って欲しいし「どんな風に痛かった？」って知りたい。
すれ違う度、ぶつかる度、揉める度、
私たちは、私たちを知っていく。
私と隆二さん、離れていた期間を除けば付き合って３ヶ月にも満たない。
知らないことが多くて当たり前。
「どっちが謝んの？」
「んー………その時々で違うかなぁ」
「ふーん。普通だね」
「普通だよ、普通」
二人で“うんうん”と頷き合って申込用紙に記入し終わった頃、私の携帯の通知音が鳴った。
「あ、隆二さんだ。“そろそろ着くよ”だって」
「え！？もうそんな時間！？私、そろそろ帰る」
「え！？居れば良いじゃん！」
「やだよ！何か緊張するじゃん！」
「えー……何か悪い気がする……」
「そんなことないよ！旅行の申し込みも行きたいし。早い方が良いからね」
「そう？じゃあ………諸々宜しくお願いします」
「はい、任せてください」
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2016年2月14日 21時
