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「んー!」









ゆかりとの電話を終えて、立て付けの悪い雨戸を力任せに閉めてから、私はパソコンを開く。









仕事を持ち帰るのは珍しいことじゃない。









オフィスより居心地の良い自宅の方が捗ったりする。









部屋の角に置いたチェストの上のトロフィーに、ふと目がいった。









私が去年、仕事上のとある事で小さな小さな賞を受賞した時に貰ったもの。









最年少受賞だったらしい。









これが今、私の足枷になっている。









“うちの事務所のエース”









そんな曖昧な称号、ほしくないのに。









「今日は進みが良いな………」









一人呟いてから、私は何故か目を閉じて彼の顔を思い浮かべていた。








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あなたと会わなかったら









あなたと言葉を交わさなかったら









あなたとすれ違うだけだったなら









私はあんなに泣いたり怒ったり、胸を痛めることもなかったでしょう。









だけどもし、あの日に戻れたとしても私はあなたにチケットを拾ってもらいたいと思うのです。









甘く切なく、愛しいあなたに。

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2016年1月4日 20時

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