検索窓
今日:55 hit、昨日:55 hit、合計:846,359 hit

2 ページ21





触っちゃいけないのに、ついつい顎の赤い膨らみを指で撫でてしまう。









「マルチビタミン……ミネラル?」









付け焼き刃のサプリメントを買うために入ったコンビニ。









片っ端から飲んでやろうか。








少しずつ横歩きしながら、どれを買おうか悩んでいたらトンっと足が何かにぶつかった。









「あっ、すみません」









反射的に謝って隣を見たら、









「わざと蹴ったでしょ」









隆二さんが居た。









「こっ、こんなとこで何してるんですか?」









「事務所の隣のコンビニでよくそんなこと言えるね」









「そう………ですよね」









そう答えてから私はビタミンCとEの袋を手にしてレジへ向かった。







昨日のことを何か言われたらどうしようと思うと、段々と顔が下を向いてしまう。









顔馴染みの店員さんが会計をしながら「ニキビ?」と聞いてきた。









「ニキビって歳じゃないですよ……」









「そんなことないよ」








笑いながらレシートを渡して小さく手を振ってくれたけど、やっぱりこれは吹き出物だ。








コンビニを出たら、冷たい空気が頬を撫でる。









「寒っ」








そろそろ羽織もの…………って言うか何か……後ろに足音……。









誰か分かってる。さっき私と入れ替わるようにレジに並んだのが少し見えたから。








“利用しろとか言うな”









耳の奥に、まだ残ってる言葉。









チラッと後ろを振り返った。









「つけてるわけじゃないから」








面倒臭そうに隆二さんは言った。









「分かってます………あの、車?ですか?」









ちょっとだけ歩みを速めた彼が私の隣に並ぶ。








「昨日断ったくせに」









……その話しかぁ。

3→←灼熱。



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (462 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1341人がお気に入り
設定タグ:今市隆二 , 三代目 , 岩田剛典
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月2日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。