灼熱。 ページ20
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朝起きたら、顎の下の方にポチっと吹き出物。
「うわぁ………」
恋をしたら綺麗になるなんて、恋愛中毒患者の妄言だ。
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「今日は二人とも顔のコンディション悪いよ?」
隣の子は、やけ酒した顔。
私は、泣き腫らした顔。
「岩田さーん、どこが良い奴なんですかー………いけすかない奴でしたよー」
彼女は声のコンディションも悪い。
「え、何かごめん……Aは?昨日居た中の誰かに泣かされたの?」
「え?」
「だって、泣いた顔してる」
岩田さんは知ってると思ってた、昨日のこと。
隆二さんは、いつも岩田さんに逐一報告する………のか、岩田さんが根掘り葉掘り聞き出すのか分からないけど
私と隆二さんの間に起こったことは何だって知ってると思ってた。
「………あっ、深夜映画で泣けるのやってて!」
「へぇー!何?」
「あー……えっと、シャイニング!」
「泣けないだろ!あれじゃ!」
「いや、恐くて。お父さんあんななっちゃったし」
「え、最後どんなだっけ!?気になるー!帰り借りちゃお」
「えぇ、もう是非」
“最後……最後……”とぶつぶつ言いながら帰って行く岩田さんの後ろ姿を見送って
私は何となく携帯を見た。
来るはずのない、彼からの連絡。
少しだけ考えてしまう。
誘いに乗ってたら、今朝の私は気だるい顔を「どうしたの?」って岩田さんに指摘されてたかもしれない。
“たられば”はないんだけど。
「ねぇ、お昼早めに取る?」
ザラッとした酒焼けの声で聞かれて、私は「今日はお昼いいや」と答えた。
「なんで?食欲ない?」
「ううん。昨日のおすしがまだ胃に居るの」
「おすし!?あんた、仕事の呼び出しだって言ってたじゃん!何の仕事?愛人業?」
「愛人業!?そんな生業あんの!?………でも良いかもね、そういう割り切った関係」
「………大丈夫?」
大丈夫。
全然、大丈夫です。
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月2日 19時