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その日の終わり頃。 ページ13





夕方のこの時間は、どうしてこんなに眠いんだろう。









ドーナツ以来1週間、隆二さんが私に鍵のマークを送ってくることはなかった。









あれは本当に、たまたま見たら食べたくなって買いに行くのも面倒だし………“半分ちょうだい”って送っただけなんだろうな。









つまり、私はデリバリーしただけ。









「ふぅー……」









私が細く吐き出した息などかき消すように、隣の子と岩田さんが盛り上がってる。









岩田さんと隣の子、男女としてじゃなく人間的に気が合うらしくて、よく二人で盛り上がってる。









「イニシャルA.AだからA子で良いじゃん!」









最初の飲み会で岩田さんがそう言ったから隣の子はみんなから今も“A子”と呼ばれている。









もちろん、私も。









「ねぇ!Aも来るでしょ?食事会。俺、集めたから良い奴」








素敵な笑顔ありがとうこざいます。









「えー!A来たらみんな持ってかれちゃう!」








「そんなことないよ?私、別に」









「いや、Aは“隣に住んでる色々してくれそうなお姉さん”って感じで持ってっちゃうんだから!」








こないだから愛人顔だの隣に住んでる何とかなお姉さんだの………









「私そんなんじゃないよ?」









「そんな感じですよね?岩田さん」









「俺も何となくそう思うんだよね………あ!A目悪いでしょ?近視?」









「あ、はい!」









「だからだよ!ちょっとぼんやりしたような目つきで、よく見えないから相手をじっと見つめるでしょ?」








「だからかぁ!………だから持ってっちゃうんだぁ」









「そうだよ!誘ってるみたいな顔してるけど、ほら服装はいっつもラフでしょ?そこが何か………たぎるんじゃない!?」









私にも親兄弟が居ますのでその辺で。









「………よく分かんないけど、私行かないから……ごめんなさい岩田さん」









「行こうよ。誰かとくっつかなくても美味しいの食べれば良いじゃん。ね?」









美味しいの………









「そのお店に蟹のパイありますか!!」

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月2日 19時

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