協定項目10 ページ11
夜道を並んで帰る太宰とA。
互いに無言で、足音だけが響いた。
ふと、Aが顔を上げる。
夜空には星が浮かび、煌めいていた。
「綺麗だね。」
「ですねぇ……。」
Aはすっかりその星空に目を奪われたようで、立ち止まって空を眺める。
「私、星好きなんですよ。」
そう云って気の許した笑みを太宰に向けた。
「ん?そう云えば名字…。」
「星に深いって漢字で、星深。自分で云うのも何ですけど良い名字だと思いません?」
嬉しそうに云うAに太宰は思わず頬を緩める。
「星は、雲に隠れて見えなくなる時もあるけど…その輝きを失うことは無い。だから、私もそう云う人間でありたい。」
偶には隠れて、物事から目を逸らしても良い。
それでも自分は自分であり続けて、星のように自分自身の輝きを失いたくない。
それが、Aの云いたいことだった。
「成る程ね、君らしい。」
二人の間を風が吹き抜ける。
それは優しく、柔らかい風だった。
「よし、さっさと帰りましょう。」
スタスタと歩き出すA。
「怖いから?」
「だから、怖くないですっ……て、あれ?太宰さん………?」
Aが後ろを振り向いたら其所には誰も居なかった。
「え……?」
人知れず固まるA。
「だ…ざい、さん…?」
一瞬で姿を消した太宰。
Aの脳裏に幽霊と云う言葉が浮かんだ。
小刻みに震える躰。
「みーつけた。」
「ぎゃああああ!!?」
突然背後から聞こえてきた声に、Aは腰を抜かした。
「くっ…ははっ…ハハハ!」
堪えきれずに太宰は声を上げて笑う。
Aの背後に立っていたのは太宰で、いきなり姿を消したのも態とだった。
「っ…質悪すぎます!!」
涙目で訴えかけるAに何故か太宰は驚いた。
「ほんッと最悪……あ、ヤバイ、腰抜けた動かない…。」
腰が抜けて動けないAと頭に手をやり動かない太宰。
「いやいや、私が…?殆ど初対面の星深さんに…?」
「何ブツブツ言ってるんですか!取り敢えず助けて!!」
Aが太宰に手を伸ばす。
ハッとしたようにその手を太宰が取った。
「っ……。」
太宰の顔は真っ赤でAを起き上がらせると直ぐに手を離す。
「わっ、ちょっ…待って、腰が……。」
慌てたように太宰の外套を掴んだAに太宰の心臓が音を立てた。
太宰は思わず顔を隠す。
___何故か、君のことを意識してしまう。
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和(プロフ) - 分かりました! (2017年4月1日 13時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
スターチス(プロフ) - 和さん» 実は私お友達申請などのしくみがよく分からなくて…私もぜひお友達になりたいので教えてくださいませんでしょうか。 (2017年4月1日 11時) (レス) id: 134aa8d2bb (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - お友達申請してもいいですか? (2017年4月1日 1時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
medaemon(プロフ) - スターチスさん» 頑張って下さい!!待ってますよ! (2017年3月31日 9時) (レス) id: ca66a711e7 (このIDを非表示/違反報告)
スターチス(プロフ) - medaemonさん» そんな、全然上から目線なんかじゃないですよ。コメントしていただいただけでありがたいです。最近あまり更新出来ていませんが、頑張りますね! (2017年3月30日 22時) (レス) id: 134aa8d2bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スターチス | 作成日時:2017年1月31日 1時