episode 3-16 ページ12
グリファスside
敵情視察とは言っても、此方にも都合……主に授業がある。眷属たちに向かわせようと考えていたのだが。
朝のホームルーム後には既にジャックが此方の教室の入口に立っていた。
『おはようございます。御用事ですか？』
「はあ？ お前がアズールの様子を見るっつってたから来たんだろうが」
『ワタクシもハウルさんもこの後は授業があるでしょう？』
「そんなこと言ってたら何時まで経ってもアイツの弱点が掴めねぇ。学園長直々の命令なんだ、サボりも大目に見てくれるだろ。それに、アイツの強さの秘密の強さを知れるなら、俺も知っておきたいからな」
真面目なジャックが堂々と授業をサボるとは。それ程までにアズールに負けたのが悔しかったか。大方最後に付け足した一言が、授業をすっぽかしてまでアズールを見張ろうとする最も大きな理由だろう。
『そうですね。では、一時限目から監視をしましょうか。アーシェングロット先輩は二年Ｃ組……一限目は音楽です』
「なら、アイツがいるのは音楽室か。向かうぞ」
『承りました』
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その後もアズールが授業を受けている様子を監視し、とうとう昼休みになった。結果はと言えば……
「何もかも完璧……アズールの奴、正に完全無欠の優等生って感じだな」
『弱点らしきものは見つかりませんでしたね』
眷属からもそれらしい報告は来ていない。いっそラウンジの方にも張り込みさせるか。
ジャックが眉間に皺を寄せながら、昼食を食べるアズールを監視し続けている。その横では、エースとデュースが机に突っ伏していた。
「はぁ……さっそくこき使われてヘトヘトだ……朝六時から呼び出されるなんて」
「掃除に給仕、購買への使いっ走りまでさせやがって。放課後も��モストロ・ラウンジ��の手伝いだし。寮長にアズールと契約した事がバレて反省文まで書かされたし……」
二人して大きな溜息を吐いている。中々にハードな生活を送っているようだ。
『お疲れのようですねェ』
「フン、自業自得だ」
『そう仰らずに。早く解決して差し上げましょう』
「マジで頼むぞ！ このままだとオレたち過労死するから」
「こんな姿を母さんに見せて悲しませたくないんだ。僕からも頼む」
エースたちが必死に手を合わせてくる。ぺこぺこと頭を下げる度にイソギンチャクが揺れるのが滑稽だ。
「おや、どうなさったんです。暗い顔をして」
ふと、背後から声が掛かった。
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作者名：カガチ | 作成日時：2022年12月9日 4時
