終夜、鳴く (ページ19)

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あなたページ19

「ねー、つるまる」
「なんだ？」
「そらはきれいだよなー、すきとおっててうつくしい」

馬当番をしながら、子鴉丸は空を見上げた。
雲がぽつりぽつりと浮かび、晴れ上がった紺碧の空は清々しい。

「ん、ああ。そうだな…」

二人の内番服はまったくの真逆だ。
鶴丸は白一色なのに対し、子鴉丸は黒一色。季節は夏なので暑そうだ。
しっかりと背の部分は空いており、パタパタと飛びながら馬糞を運んでいる。

「おれ、こんなひにおりてきたんだぜ」
「ん？」
「かんむてんのうのおひざもとに。やたのからすにはこばれて」

彼女が何を望んでいるなんて、鶴丸にはわかりもしないことだった。
そもそも主を共にしたことは多々あるが、子鴉丸のその上古刀の微妙な時代、鶴丸たちの日本刀の時代では価値観が違いすぎたのだ。

「というか、子鴉お前…、それ暑くないか？主に聞いたぞ、黒い服を着ていると普段の二倍は暑いと…」
「いしょうはくろいっしょくでいいの。おまえとはちがってね！」

話を流すように鶴丸がじとりと子鴉丸の服を見ると、パタパタと怒りながら飛び回る子鴉丸。
その姿はまるで蜂のようだ。

こうやって笑っているときでも、冷ややかな思いは消えないもの。

“不吉な鴉は消えた方がいいよ…”

「…」

ほら、またあなたのこえがきこえる。