22話 ページ25
kr side
『お前に振り向いてほしかったから』
…俺も馬鹿だなぁ
叶わないと知っていながら言うなんて。
でも
あの時、古也の頬がうっすら染まっていたように見えた。
…期待しても、いいのかな
.
キーンコーンカーンコーン
授業の終わりを告げるチャイム。
他のクラスメイトがぞろぞろと下校していく中、俺の元に古也が駆けてきた。
「凛!」
「…古也」
「さっきの…話なんだけどさ」
ああ、どうぞ振ってくれ。
こんなの、実るはずもないんだから。
目を逸らし、顔を歪めていると、
「…!」
暖かいものに包まれる。
それが古也に抱きしめられてることに気付くのに時間はかからなかった。
「古也…?」
「僕ね、嬉しかったんだ」
困惑する俺を置いて、古也は話し始めた。
…俺を抱きしめたまま。
「凛が、頑張って正直に言ってくれたことが。本当に嬉しかった。僕を本気で思ってるんだなって。…で、その時に気付いたんだ。僕も…
凛の事想ってるんだって」
彼の匂いが鼻をくすぐる。
やばい、涙が出そうだ
静かに流れる涙を隠すように、古也の胸に顔を埋める。
頭を撫でられて、額に柔らかい何かが触れた。
驚いて古也の顔を見るが、彼は笑ったまま。
なにが起こったかもわからずじまいで、ただ俺は古也の腕の中にいるだけだった。
「ねぇ凛」
「なに?」
「今日一緒に帰ろっか」
「…いいよ」
普段とそんなに変わらないことだけど、
なんだか今日は、特別に感じる。
そっか
今日は、『想いが届いた』特別な日なんだね。
彼と関わったのは登輝の件が初めてだった。
悪いことではあったけれど、それが無かったら彼と自然に関われて無かったかもしれない。
そういう点では、登輝に感謝しなきゃいけないな。
そして距離が縮まったのは、2人の件。
咄嗟についた嘘が、こんなことに結びつくなんてな。
…未来はわからないものだ。
後で悠と新に感謝しておかないと。
…あと、嘘を咄嗟についた俺にも、な。
.
「凛ってさ、いつからそう想ってたの?」
「…いつからだろうな」
「えぇ〜…なにそれ曖昧じゃん」
「気づいたら、だよ」
「僕は凛に言われて気づいたけど、もしかしたら前から想ってたかもね?」
「へぇ」
「…なにその顔…もしかして照れt」
顔に寄せられた手を離して唇を軽く重ねる。
「…照れてんのは、そっちじゃないの?」
「っばか〜!!!」
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あおみどり(プロフ) - mimiさん» コメントありがとうございます!感想嬉しい限りです!!励みにして活動させていただきます…! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
mimi - 今更で申し訳ない(T-T)完結おめでとうございます!見始めた時は登輝くんの弱々しい、可愛い声を想像していたのですが、だんだん元気になってのちに、kntkさんの声にしか聞こえなくなりました(笑)凄く感動しました!ありがとう (2021年1月3日 22時) (レス) id: f51bfd6fbd (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - アイさん» コメントありがとうございます!ありがたい言葉嬉しい限りです〜!!番外編、絶対書こうと思ってるので、是非また見てください! (2020年11月13日 23時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
アイ - 完結おめでとうございます!!更新されるたびに飛んできてました(笑)shさんとknさんの距離が回を進めるごとにどんどん縮まっていって、尾も白かったです!更新お疲れ様でした!番外編…!可能ならば書いていただきたい!長文失礼しました。 (2020年11月13日 17時) (レス) id: d956bb37b9 (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - アイさん» コメントありがとうございます!今後もあおみどりの小説にお付き合いいただけると嬉しいです!更新頑張ります〜! (2020年10月22日 20時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおみどり | 作成日時:2020年10月14日 7時