気まずい空気 ページ30
あのあと、結局はギクシャクした空気のまま家に送り届けてくれた糸師くん
あの空気を翌日まで引きずりたくなく、またいつもどおり糸師くんと話したかったため、自分なりに精一杯平然を装うのに頑張った
けれど
おはよう⸺と挨拶しても
おう…⸺とこちらを見ずにつぶやくだけの糸師くん
もともと反応が大きいわけではないけれど、いつもはそれでもこっちを見て返事をしてくれる
それが今日はこっちを一切見ようとしない
やはり昨日のことが原因なんだろう…
昨日のことと言ってもいっぱいある
送ってもらうことになってしまったこと
自転車にひかれかけたこと
糸師くんの言葉に返事をしなかったこと
眼鏡を荷物より先に拾わなかったこと(?)
どれに対して、何を思ってこんな状態になってしまったのか
きっと怒らせてしまったことには変わりないとは思うんだけれど…
頭を抱えながら、一人廊下を歩く
「あっ、Aちゃん!!」
すると急に前方から呼びかけられる
声の方をよく見ると、そこには潔先輩と蜂楽先輩
学校生活でも一緒にいるところを見ると、二人はかなり仲が良いのかな?
『あっ…潔先輩、蜂楽先輩。こんにちは。昨日はありがとうございました!』
「そんな気にすんなって。ってかA1人??」
不思議そうな顔でみる潔先輩
『あ、…はい。私、友達とかそんなにいないので、基本一人なんです。』
「そうなんだ!…あ。じゃあさ、俺らいつも渡り廊下の方でお昼食べてるんだけど、一緒に食べいかない?」
突然思いついたかのように蜂楽先輩が提案する
『私は構わないんですけど。…でも私なんかが…いいんですか…?お邪魔しちゃって』
控えめに二人の顔を見て問いかける
すると二人はその私の返事を聞いて、困ったようにプッと吹き出して笑う
「何言ってんだよ、別に私なんかってかんじじゃねーだろ?そんなこと気にすることないって」
「そうそう!人数多いほうが楽しいしね♪」
そんな二人の清々しいくらいの意見を聞いて、自然に頬が緩む
その後私は、二人の言葉に甘えてあとをついていく
渡り廊下につくと、昨日見覚えのあるようなサッカー部の部員が何人か揃っているようだった
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作者名:あれん | 作成日時:2023年7月17日 23時