言葉にしなくて大丈夫 1話 ページ19
あれから暫くすると、ブラックだったなんて想像もつかないくらい賑やかな本丸へとなった
それだけ加州君が頑張って皆んなを守ってきたという事だ。
「あーるじ
そろそろ休憩にしよ」
「そうだね
昨日買ったアイスでも食べようか」
最近審神者として書類仕事が増えてきて困っていたのだが
自分を近侍に置けば手伝ってあげても良いと言うので、加州君を近侍に固定して毎日2人で書類を片付けている。
ゴーン ゴーンと部屋の時計が3時の鐘を鳴らした
気付けばもう7月で
資金的な問題でエアコンを入れられないこの本丸は、あちこちで扇風機が活躍している
私はじっとりと汗ばむ顔を手の甲で拭った
「なーんかさ、楽しい事したくない？
暑さも忘れられるような、」
「んー、例えば？」
「………花火、とか？」
あー、良いね花火
なんてアイスを咥えながら、
2人で扇風機の前に並んでポツリ、ポツリと会話を続ける。
横目で彼を見ると、首筋を伝う汗に
色っぽいな、なんて思ってしまい
少し恥ずかしくなって目を伏せた。
「………やっちゃう？花火大会」
「やりたいけど、資金大丈夫なの？」
「遊ぶためのお金、少しずつ内緒で貯めてたんだ」
そう言って悪戯っ子の様な笑みを浮かべる彼女の頬に、俺は手を伸ばした。
「?
どうしたの？」
「…………んーん
なんでもない」
俺は彼女に触れる寸前の所で手を止め、アイスを持ち直した
彼女がまたこの本丸の主になったあの日から、
たまに、無性に彼女に触れたくなる衝動が駆ける事がある
その度に俺はぐっとそれに堪えているのだが
度々それは俺を襲って来た。
その理由がなんなのかは大体想像が付いている
あの日、彼女を抱き締めた時、
この人は俺が守りたいと、守らなくてはと
そう思った。
始めは刀剣男士としての本能なのだろうと思っていたが、
他の男士と話しているうちに、俺のソレは皆んなのと少し違う事に気付いた
多分、そういう事なんだ。
それから俺たちは花火大会の日程を決め
瓦版へ張り出しに部屋を出た。
加州君が瓦版へ張り出しに部屋を出て行くのを見届けると、
私は熱で紅くなっているだろう頬を手で覆った。
隣で涼む加州君を、私は恋愛的な目で見てしまっていた
彼の伸ばした手にドキドキしてしまったり
花火大会は2人で居られるかと考えてしまったり
主としてあってはならない想いだ。
「どうにかしなきゃ………」
そう呟いて、顔を腕に押し付けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤羽美海(プロフ) - 槝さん» コメントありがとうございます！！私的に三日月よりも初期刀の加州に「自分は1番古株だから、どんなに苦しくても頑張らなきゃ」って思ってたら萌えるな、と思い作りました。私も楽しく書かせてもらっているので、楽しいの共有が出来て嬉しいです！ (2018年9月14日 18時) (
レス) id: 49475d5f9c (このIDを非表示/違反報告)
槝 - 楽しく読ませて頂きました！ボス＝三日月が多いのは同感です、自満で小説書くくらい思ってたので共感者がいて嬉しかったです＊ (2018年9月14日 7時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤羽美亜 | 作成日時：2018年7月25日 18時
