11話 ページ11
残った短刀達は美味しそうにアイスを頬張っている。
その姿が、いつかの加州君とダブった。
ーこの本丸の加州君は、愛を求めないんだねー
ここに来てから、ブラック本丸について調べた時
加州清光は、普通の本丸と比べて
異常に愛を欲している傾向がある
と、書かれていた。
しかし、ここの加州君は愛を求めている様には見えない。
一体何故なのだろうか。
その何気ない疑問が、
賑やかな部屋に沈黙を作った。
短刀達は思い詰める様な表情を見せる。
まずい事を言ってしまったのではと私がわたわたしていると、
薬研君が口を開いた。
「加州の旦那は、この本丸の中で1番傷つけられた刀なんだ。」
薬研君は辛そうに、この本丸の過去を話し始めた。
加州はこの本丸の初期刀だった。
最初の審神者は特別良い奴でも悪い奴でもなかった。
普通の人だった。
だが、ある日政府の奴等がここへやってきてから
審神者は暴力を振るうようになった。
最初は近侍の加州から始まった。
男なのに可愛くあろうとする加州を
奴は気持ち悪いと罵り、
殴る、蹴るの毎日。
それでも加州は審神者に好かれようと、
爪を塗らなくなり、イヤリングも、ブーツも履かなくなり、可愛くあろうとする事をやめた。
審神者は刀が折れない程に暴力を無差別に振るい続けた。
そんなクソ審神者だったが、
それでも加州は愛されようと過度な出陣、遠征にも応えてきた。
しかし審神者の暴力はエスカレートするばかりだった。
愛されようと努める加州に鬱陶しいと言い放ち、
彼を縛り付け、闇堕ちした刀剣男士用の牢に入れ放置したのだ。
それからしばらく経ったある日
彼奴は短刀に何時ものように暴力を振るっていると、
短刀が吹っ飛んだ反動で金属の置物が審神者の頭に直撃した。
即死だった。
その後すぐに加州を救出し、その事を報告すると、
旦那は虚ろな目で
愛されたかった
そう呟いていた。
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赤羽美海(プロフ) - 槝さん» コメントありがとうございます！！私的に三日月よりも初期刀の加州に「自分は1番古株だから、どんなに苦しくても頑張らなきゃ」って思ってたら萌えるな、と思い作りました。私も楽しく書かせてもらっているので、楽しいの共有が出来て嬉しいです！ (2018年9月14日 18時) (
レス) id: 49475d5f9c (このIDを非表示/違反報告)
槝 - 楽しく読ませて頂きました！ボス＝三日月が多いのは同感です、自満で小説書くくらい思ってたので共感者がいて嬉しかったです＊ (2018年9月14日 7時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：赤羽美亜 | 作成日時：2018年7月25日 18時
