言葉の無い愛【加州清光】

6話 ページ6

朝は早く起き、料理を教え、
合間に書類仕事をし、と
そんな事を繰り返していた。


料理を教える時間はとても楽しかった。

それ以外の嫌な事を、一時的にでも忘れられるくらい





廊下ですれ違いざま、殺してやる宣言をされたり、
審神者部屋を荒らされたり、


私が歓迎されていない事は分かっている。

それでも、精神的にくるものはあった。



研修の際、元ブラック本丸の審神者とお話しした事があった。


彼女はひたすら前向きで、
暖かくて、
とても芯の強い人だった。


しかし、私はそうじゃない。





敵意を向けられ続ければ


私よりももっと良い審神者が就いた方が
彼等の為になるはず。

私は此処に居てはいけないんだ。


なんて考えてしまう。





燭台切さんや歌仙さんに料理を教える必要がなくなり、
一緒に料理をしなくなった頃から、
私は不眠症になってきた。


そこからは負の連鎖が続き、
食欲がなくなり、物が食べられなくなり、
吐き気と嘔吐が続いていた。



それを見兼ねた加州君は私に近侍を好きに選んで良いと言ってくれた。


何故、と聞くと

ある程度大人しくしてくれてるから、
私が倒れて他のクズ審神者に来られては困るのだと。





ー………………短刀が良いな、可愛いからー

「短刀、ね………」





彼は難しい顔をした後、
部屋を出て行った。

7話→←5話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す