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35 見舞い泥棒 ページ37

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「ウヌそのリンゴよこせ！食わせろ！」

「ダメだ！全部オレんだ！」



静かな場所に似つかわしくない大声が響くのはとある病院、早川アキが入院している病室からだった




「4課は誰が生き残っている…」


その声にピタッと動きを止め、意識が戻った事に驚きもせず返答する



「コベニってチビと… メガネの男も生き残ったみたいだけど公安やめたんだと」



アキはその返答に違和感を覚え、同時に冷や汗が出てきた
焦ったように質問を続けるアキに、デンジが少し驚いた様子で答える




「……Aはどうした」

「お、おう、Aちゃんも生きてるぜ、ここで入院してる、」



それを聞くなり心底安心したように深い深いため息をつき、目元を覆った




「じゃあ俺とパワ子はAちゃんとこ寄ってから帰るわ」

「見舞いの果物を食いに来ただけじゃ」



「りんご１個だけ残しといてやるよ じゃあな」




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「よお〜〜Aちゃん調子はど〜？」

『ああ、デンジ君とパワーちゃん
わざわざ来てくれたの？ありがとう』

「お！！いちごじゃいちごじゃ！このいちごはワシのじゃ！」



今にもいちごを食べそうなその様子を見て、少し迷う素振りを見せたAだが、止めても無駄だと思いパワーにあげた






「なあAちゃんよお」

『ん〜？』

「Aちゃんは姫野が死んで悲しい？」

『え…？』



Aの目が少し揺れた
それに気付いたデンジはやっぱいいと切り上げようとしたが、Aの返答の方が先であった





『そりゃ、悲しいよ』

「そっ、か
さっきアイツのところ行って来たんだけどさ、
なんつーか、その、泣いてたから〜、」

『えっ、アキ君デンジ君の前で泣いたの？』

「いや、病室にマンガ忘れちゃってさ、取りに帰ろうとしたら泣いてたからおいてきちゃった」

『…アキ君泣いたんだ』




よかった、という小さな声は誰にも聞こえなかった




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