妖たちと暮らす家８

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(暇...)

寒くなってきたし外に出て風邪を引くとダメだからと出社までは最低限の買い物だけ外に出て後は家で過ごす事に。
これと言ってやることがない私はソファに座って小さな音で流れるテレビを見ながらぼんやりするだけ。
ソファの下では彼がパソコンに向いっぱなしで仕事をしているから邪魔も出来ない。

カタカタとタイピングの音が心地よくてソファで横になって目を閉じると、目覚めた時には彼の後ろ姿は相変わらずパソコンに向かっていたけど私の身体にはブランケットが掛けられていた。
仕事が忙しそうでてっきりこっちなんて見てないと思ってたから、気にしてくれていたのが正直嬉しい。

起きてもすることないしなぁ、と後ろ姿を眺める。
じーっと眺めていたらだんだん寂しくなってきて、パソコンに向かったままの広い背中に抱きついてしまいたくなる。
手元の資料を眺める横顔にはパソコン用にと買った黒縁の眼鏡がかけられていてその姿が何だか新鮮。
というか、いつも私が仕事に行っている間に彼も仕事をしていたからこうやって仕事してるんだなぁ、と眺められてラッキーかも。

でも、そろそろ構って欲しい、なんて。

パラパラと紙をめくる長くて綺麗な指が動くのを眺めていると、急に彼が振り返ったから驚いた。

「あれ？起きてたん？」

「ちょっと前にね」

「声掛けてくれたら良かったのに」

2回目のおはようやねと寝転んだままの私の前髪を上げると小さくキスをして笑う彼の視線が私にあることが嬉しい。

「もう終わったの？」

「んー、あとちょっとかなぁ」

ふぅ、とため息をつく彼の髪を何となく手櫛で梳く。

「それもっとして。頑張れそう」

こてん、とわたしの顔の近くでソファに頭を置いて目を閉じた彼の髪を何度か梳くと口角が上がった。

「すきやで」

「ふふ、急にどうしたの」

「最近ちゃんと言うてないなって思って」

「そう？昨日も言ってもらった気がするけど」

センラの最近っていつの事なの、と笑うとぱちりと間近にある目が開いて視線が絡まる。

「すきやなー、ってAちゃん見る度に思ってるけどしつこいって思われたくないから我慢してんねん」

「そうなの？」

「それしか言わへんくなるで。ええん？」

「それはやだなぁ」

その気持ちは嬉しいけど、毎回言われてはどう返していいかわからないし心臓が持たない。
くすくすと2人で笑うとそろそろ夕ご飯にしよっか、と彼が明るい声で伸びをして立ち上がった。

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