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「何これ」
ごめんね、大丈夫?と頬を撫で続けていた声はまた急に尖い物になって身体が強ばった。
(今度は何、、、?)
肩を乱暴に掴まれ光るシャンデリアが見えた。
眩しさに目を細めていると服の胸元を引く感覚に慌てて手を掴む。
「なんで、、、なんでなんでなんで!!」
「高瀬さ、、」
荒くなった声とまた千切られてしまいそうなワンピースの胸元にとりあえず手を退けようと力を入れても動かない。
「なんでこんなもんつけてんの?何勝手に触られてるの?」
何のことを言ってるかわからない。
見開かれた目が怖い。
「なに、、」
何のことだと言おうとした矢先、唇に生温かい感触がして驚きと嫌悪感でわけがわからない。
無理矢理こじ開けようとしてくる舌が気持ち悪い。
今唇を重ねてる相手が彼じゃない事が信じられない。
(嫌!)
彼とそこまで変わらない重なった高瀬さんの身体は押し潰されそうな程重い。
身体にかかる体重で上手く呼吸が出来ず口を開いてしまいそうになるのを必死に耐えることしか出来ない。
押し倒された身体はどんなに抵抗しても男の人の力には勝てず太腿を伝う手は裾から這って胸元へと届いてしまった。
絶対に嫌だ、触らないでと思うのに身体を押し返せない。
背中を叩いていた手を握って思い切り叩くと小さく呻き声を出した高瀬さんの唇はようやく離れた。
「くそ!」
「、、、!」
息が出来ない。
苦しい。
どうやら首を絞められているらしい。
血走った目と首を思い切り絞めている彼の手じゃない感触に、この人に抱かれる位ならここで死んでしまった方がマシだと肩に掛けていた手の抵抗をやめた。
もう逢えないなら、せめて彼に抱かれた身体で死にたい。
大好きと何度も名前を呼ばれて愛された身体は彼しか知りたくない。
(センラ...)
何度呼び掛けたかわからない彼の名前を呼んで、優しく笑う顔を目を閉じて思い出した。
たった数ヶ月だけど、信じられないくらい幸せだった。
愛されるってこういう事なんだろうなと実感した。
孤独なんて感じなくなった。
訛りのある優しい声も、頭を撫でる大きな手も、強く抱き締めてくれる身体も、死んだって絶対忘れない。
もっと素直になれば良かったな。
もっと好きだって伝えればよかった。
(もっと、一緒にいたかったな)
「センラは、Aちゃんとずっと一緒におるからね」
死んだとしても何故か彼なら一緒にいてくれる気がした。
よく頑張ったねって、抱き締めてまた頭を撫でて貰いたいなぁ...。
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あーりん(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!甘い二人が書きたい私としては早くこのシリアスを抜けたい所ですがしばしお付き合い下さい!笑 (2019年8月27日 21時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 更新お疲れさまです(^^)いつも楽しみに待ってます!シリアス展開なのに先が気になってワクワクしていますw更新頑張ってください! (2019年8月27日 16時) (レス) id: 08075475cf (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 怜莉さん» 楽しみに待って頂いているのがすごく嬉しいです!( ;__; )コメント頂けてとても励みになりますー!少しシリアスなお話が続きますがお付き合いよろしくお願いします! (2019年8月27日 15時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
怜莉(プロフ) - 更新ありがとうございます!いつも楽しみで、今か今かと待っていますw個人的になんで話数毎の評価ができないんだーーーーー!!!と嘆いていますwこの先の夢主ちゃんとセンラさんがどうなるか気になります!更新頑張って下さい!待ってます! (2019年8月27日 10時) (レス) id: 0408e10153 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ぷーさん» ありがとうございますー!これからもよろしくお願いします!あと、課題頑張って下さい!!w (2019年8月27日 1時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月8日 4時