249:センラside ページ28
「ちょっ、センラ!大丈夫なん?!」
坂田の箒に乗せてもらい家に着いた俺は早くAちゃんの姿を確認したくてもつれた足でベランダの窓を開けた。
真っ暗なリビングを抜けて寝室へ行こうと視線を向けるとドアが開いている。
おかしい。
ドアを開けっ放しにしている所なんて見た事が無い。
「Aちゃん?」
整わない呼吸と脈打ったままの煩い鼓動のせいで上手く歩けない。
寝室を覗き込むといつもいるはずの場所にAちゃんの姿が無い。
(なんで、、、)
無造作に捲られたままの布団。
枕元には充電中のAちゃんの携帯と俺の携帯が繋がれたままだった。
「あれ、、、?Aちゃんは?」
「、、、いねーぞ」
坂田とうらたんも寝室を覗き込んで唖然としている。
俺を支えるように背中にかけられていた坂田の手が強ばったのがわかる。
「風呂場にもおれへん」
玄関に靴もあったと志麻くんと天月くんが慌てた声を上げた。
こんな時間に携帯も持たずに出掛けるなんて有り得ない。
それ以前に心配だから一人で夜に出歩かないでと再三約束している。
約束を破るような子じゃない。
「あいつや、、、」
「あいつって、、、まさか」
呟いた俺の言葉に坂田は首を振ったけどそれしか考えられない。
どうやって入ったかは分からないけど、つけ回していたあいつがもし今日Aちゃんが一人だと知ったならやりかねない。
「、、、相手がわかんねーままだぞ」
「探すにしたってどうすれば...」
うらたんと志麻くんの言葉にその通りだと、途方に暮れるっていうのはこういうことなんやろうなと思った。
それでもそんな事言ってられない。
「まだ近くにいるかもしれない。手分けして探そう」
坂田は俺と上から探そうと天月くんは俺の手に素早く魔法陣を描いて坂田を連れ出した。
「センラはこれ持って探しに行け」
うらたんはすぐに呼べる様にと坂田の魔法陣を持たせると一緒に上から探すとすぐに姿を消した。
「俺はとりあえず駅の方行くから、センラは逆な」
また後でと志麻くんも足早にその場を去っていく。
早く探しに行こうと踵を返してリビングを抜ける時に写った鏡には、いつもと違う琥珀色に強く光る瞳が暗闇に浮かび上がっていた。
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あーりん(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!甘い二人が書きたい私としては早くこのシリアスを抜けたい所ですがしばしお付き合い下さい!笑 (2019年8月27日 21時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 更新お疲れさまです(^^)いつも楽しみに待ってます!シリアス展開なのに先が気になってワクワクしていますw更新頑張ってください! (2019年8月27日 16時) (レス) id: 08075475cf (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 怜莉さん» 楽しみに待って頂いているのがすごく嬉しいです!( ;__; )コメント頂けてとても励みになりますー!少しシリアスなお話が続きますがお付き合いよろしくお願いします! (2019年8月27日 15時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
怜莉(プロフ) - 更新ありがとうございます!いつも楽しみで、今か今かと待っていますw個人的になんで話数毎の評価ができないんだーーーーー!!!と嘆いていますwこの先の夢主ちゃんとセンラさんがどうなるか気になります!更新頑張って下さい!待ってます! (2019年8月27日 10時) (レス) id: 0408e10153 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ぷーさん» ありがとうございますー!これからもよろしくお願いします!あと、課題頑張って下さい!!w (2019年8月27日 1時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月8日 4時