239 ページ18
天月さんと指定された式場にとりあえず行ってくると何やら作戦を立てていた三人が帰るねと玄関に並ぶと、私の顔を見たみんなは口々に顔色が悪いけど大丈夫かと聞いてきた。
(そんなに、、、？)
大丈夫だと言ってもみんな納得してくれず、センラしっかり看病するんやでと声を掛けて帰っていった。
「大丈夫？」
私に向き合った彼が心配そうに頬を撫でてくれる。
その声に、同じ事を言われているのにやっぱり彼の声が一番安心するなんて心配してくれたみんなには申し訳ないけど現金な奴だなと自分に呆れてしまう。
「大丈夫。センラと寝たら治るから」
「またそんな可愛い事言うて誤魔化して、、、」
もう、と繋がれた手は冷たいのに温かかった。
おやすみとキスをして貰っても何だか眠る気になれなかった。
明日の事が心配なのと、何だかまだ寝たくなかった。
「どうしたん、眠くない？」
「うん、、、寝たくない」
頭を撫でてくれていた彼が眠る様子の無い私の顔を覗き込む。
「早く寝ないとまた風邪引いちゃうで」
ぽん、ぽんと背中を撫でるように叩かれて、こんなに甘やかされているのに足りないと思ってしまう。
「やだ。寝たくない、、、」
「あらら」
珍しいなぁと肘をついて私を見下ろしていた彼の腕が首の下に回されて抱き寄せられる。
彼の胸に顔を埋めて深呼吸をすると、胸騒ぎの様に落ち着かなかった気持ちは少しましになった。
また優しく背中を撫でる手に安心はするけど、眠気は来ない。
しばらく黙っていたけど、このまま寝かしつけようとする彼に口を開いた。
「まだ寝ないよ」
「ふふ、どうしたん」
やだ、寝ないと駄々をこねるように彼の腕の中でいつもは言わないわがままを言った。
それでも彼はわかった、付き合うよと嫌がること無く優しく背中を撫で続ける。
「センラ」
「、、、そんな可愛い顔してどうしたん」
顔が見たいなと抱き締められたまま顔を上げるとおでこにキスをされる。
それじゃ足りないと言うとまた風邪引いたら困るから我慢してるんやでと困った顔をされてしまった。
「我慢しなくていいよ」
大丈夫だからと言うと、えー？と戸惑いがちに素肌を触る手に安心する。
「Aちゃんが沢山可愛く甘えてくれる時は風邪引いたときやからなぁ」
インフルエンザにかかった時の事を言ってるんだろう、まだ煮え切らない彼の背中に腕をまわす。
「またセンラが看病してくれる？」
「当たり前」
でも心配、とキスは段々深くなっていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 597人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あーりん(プロフ) - めめさん» ありがとうございます！甘い二人が書きたい私としては早くこのシリアスを抜けたい所ですがしばしお付き合い下さい！笑 (2019年8月27日 21時) (
レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - 更新お疲れさまです(^^)いつも楽しみに待ってます！シリアス展開なのに先が気になってワクワクしていますw更新頑張ってください！ (2019年8月27日 16時) (レス) id: 08075475cf (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 怜莉さん» 楽しみに待って頂いているのがすごく嬉しいです！( ；__； )コメント頂けてとても励みになりますー！少しシリアスなお話が続きますがお付き合いよろしくお願いします！ (2019年8月27日 15時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
怜莉(プロフ) - 更新ありがとうございます！いつも楽しみで、今か今かと待っていますw個人的になんで話数毎の評価ができないんだーーーーー！！！と嘆いていますwこの先の夢主ちゃんとセンラさんがどうなるか気になります！更新頑張って下さい！待ってます！ (2019年8月27日 10時) (レス) id: 0408e10153 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ぷーさん» ありがとうございますー！これからもよろしくお願いします！あと、課題頑張って下さい！！w (2019年8月27日 1時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーりん | 作成日時：2019年8月8日 4時
