177:さかた ページ43
「なぁに？それ」
「わかんない...」
社内の郵便で珍しく自分宛を受け取るとそれには見覚えがあった。
営業先の資料でも無さそうなピンクの封筒を隣に座る同僚が覗き込む。
家にしか届いてなかったから悪戯で済ませていたけど、会社にまで送られてくるなんて。
確実に私宛の宛名を眺めて、中を開ける気にならない。
どうせ中身は、何も書いてない真っ白な紙なんだろうけど...。
昼休憩に彼と電話をしていた時は楽しかったのに。
たった一通の手紙とも言えない封筒のせいで午後の仕事はあまり捗らなかった。
(帰ってから開けよう)
一人で中身を見る気になれない。
帰って彼に一緒に見てもらおうとそっと鞄へと入れた。
今日一日長く感じたなぁとため息をついて電車を降りるとさかたんの姿が見えて小走りで近付く。
人気の無い場所に黙って歩くと嬉しそうに笑うさかたんが振り返ってローブの袖から何か出そうとしているのか探っている。
「見て欲しいものがあって、、、帰りにごめんね」
「いいよ。何見せてくれるの？」
「あった！これなんやけど」
ゆっくりと大事そうに広げられた紙には、綺麗な水彩画のような花の絵が描かれていた。
「綺麗な絵だね。さかたんが描いたの？」
絵は小さいけどとてもよく描かれていて淡い色合いが本当に綺麗だった。
違う、と首を振っている。
「貰ってん」
「貰ったの？誰に？」
「それは...内緒」
困ったように笑うさかたんに、何となく理解した私は分かったと頷いた。
「これ、みんなに内緒にしてくれる？嬉しくて誰かに見せたかったんやけどAちゃんしか思い浮かばへんくて」
「もちろん。見せてくれてありがとう」
大事にしないとね、と絵を返すと宝物やねんと大事そうにまたローブの中へとしまった。
長く引き止めるとセンラが怒るからと早々に姿を消したさかたんの面影を見つめて、嬉しそうだった顔を思い出して私も頬を綻ばせる。
(嬉しそうだったな)
宝物と絵を見つめるさかたんは優しい目をしていた。
誰なのかなと絵を送った相手を思い浮かべるけど、あんなに綺麗な絵を描く人だからきっと優しい人だと思う。
人なのかもちょっと怪しいけど、と思いながら遅くなってごめんねと彼に電話をかけた。
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あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます！やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (
レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます！笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです！ 坂田くんver.気になって仕方ありません！！ これからも頑張ってください！ 応援してます！ (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます！どちらも読んで頂けて嬉しいです( ；__； )今後もよろしくお願いします！ (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あーりん | 作成日時：2019年6月19日 6時
