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「やばい、昼休憩終わりそう」
今何時だろうと時計を確認した天月さんが私の顔を見る。
携帯で時間を確認するとそろそろ戻らなければいけない時間になっていた。
「そうなん?ほんじゃ帰るな?」
さかたんは大変やね、とのんびりした口調で慌て始めた私たちを眺めている。
「さかたん、また水曜日ね」
「楽しみにしてるー。みんなにはまだ黙っておくな?天ちゃんも、またね」
ばいばーい、とさかたんは姿を消した。
「貴重なお昼の時間にごめんね」
「いいえ。驚きましたけど、教えてくれてありがとうございます」
「それでね、迷惑じゃなければなんだけどセンラさんに会わせて貰えないかな?」
ほんとに良かったらなんだけど!と申し訳なさそうな顔をする天月さんに、悪い人じゃなくて本当に良かったと笑顔になる。
「今日どうですか?」
「ほんと?!、、、一緒に住んでるの?」
「はい、、、」
「そっか。じゃあ、お言葉に甘えて」
定時で帰れるかはわからないですけどと言うと天月さんも自分も似たような時間になると思うと笑っていた。
「この会社、お給料はいいけどブラックだからね」
「確かに」
妖怪とは思えない天月さんの言葉に思わず笑ってしまう。
「良かった、やっと笑ってくれた!」
安心したー、と会議室のドアを開けてくれた。
(そんなに無愛想だったかな)
不安が大きかったしなぁと会議室を出る。
二人で並んで歩くだけで目立つことを思い出して、一緒に帰るのはまずいんじゃ、、、と周りの視線を改めて感じながら思う。
「天月さん」
「なに?」
「一緒に帰るのはちょっと、、、天月さんにご迷惑がかかるかもしれないので駅で待ち合わせしませんか?」
小声で話す私に耳を傾けていた天月さんは話を聞いてくれた後、言いたいことを理解してくれたようで了解と頷いてまた後でと私を課まで送り届けてくれた。
「天月さんと同じ大学って、Aちゃんの彼氏凄いねえ」
「、、、うん」
デスクに戻ると同僚がさっきの話を聞きたかったらしく椅子を近付けてくるから何て答えたらいいかわからずどもってしまう。
(大学、どこって言ってたっけ...)
こんなことになるならもっと他の社員に興味を持って天月さんの噂もしっかりと聞いておけばよかったと同僚と話しながら後悔した。
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あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます!やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます!笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです! 坂田くんver.気になって仕方ありません!! これからも頑張ってください! 応援してます! (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます!どちらも読んで頂けて嬉しいです( ;__; )今後もよろしくお願いします! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月19日 6時