165:あま、さか ページ31
「できた!見ててね?」
テーブルに大きく描かれた魔法陣はさかたんの描く物よりも強く赤に光っていて眩しい。
黙ったまま頷くと天月さんはにこりと笑って指を鳴らした。
「、、、、さかたん?」
「うお?Aちゃん?、、、あれ?!ここどこ?!なに?!」
え?!と魔法陣の中から現われた慌てるさかたんを見ても本物かどうか分からなくてまだ不安は拭えない。
でも天月さんが魔法使いだということはこれではっきりわかった。
「あ!天ちゃんやん!、、、なんでここにおるん?」
振り返ったさかたんは天月さんを見ると嬉しそうに声を上げた。
テーブルの魔法陣から一歩踏み出すと天月さんの描いた魔法陣は一瞬にして消えてしまった。
「Aちゃんと同じ会社で働いてるのがわかったからそれを話してたんだけどね、坂田呼んだ方が僕の魔法とか色々信じてくれるかなぁって思って」
「そうなん?!こっちで働いてるって聞いてたけどAちゃんと同じ会社なんてびっくりやわ」
わー、すげー!と笑うさかたんを見て本物なんだ、天月さんは悪い人じゃないと安心してようやく身体の力が抜けた。
「Aちゃん、天月!僕らと同じ妖怪やけど、天ちゃんの魔法は僕より凄いし楽しいからって人間に成りすましてずっと働いてるねん」
変な奴やろ、と笑うと天月さんも笑っている。
「坂田も魔法使いとしては十分凄いけどね。人の記憶を操作することも、書類を偽造することも容易いよ」
「本当に、、、そうだったんですね」
完全に立っている気力がなくなってしまった私はその場にしゃがみ込んで二人を見上げた。
「え、大丈夫?ごめんね、いきなりでびっくりしたよね」
でも早く話してみたくて。ごめん!と差し伸べられて握った手は温かくて、本当の人間みたいだと体温の低い彼を思い出した。
「Aちゃん大丈夫?センラ呼ぶ?」
心配そうに見つめるさかたんに大丈夫だよと返して立ち上がる。
「センラを助けてくれたAちゃん。今は、センラの彼女やんな?」
「え、まぁ、、、うん」
さかたんが天月さんに改めて紹介してくれる言葉に照れてしまう。
さっきまで、あんなに不安で仕方なかったのに。
「センラさんが飲み会に迎えに来てびっくりしたんだよ。まぁ、俺の事なんて眼中に無くてAちゃんしか見てなかったけど」
あいつ血相変えて出ていったからな、と言うさかたんと顔を見合わせて笑う。
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あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます!やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます!笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです! 坂田くんver.気になって仕方ありません!! これからも頑張ってください! 応援してます! (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます!どちらも読んで頂けて嬉しいです( ;__; )今後もよろしくお願いします! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月19日 6時