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こんな時間に電話なんて誰だろうと携帯を取り出して画面を見る。
(非通知?)
久しく見ていなかった画面に戸惑う。
昔に、一二度かかってきたことあるかなくらいの記憶しかない。
「会社の人?」
「違う...」
携帯を持って彼の傍に戻り鳴ったままの携帯を見せた。
「非通知?ってなんなん?」
何これ?と彼は眉を顰めている。
「かけてる相手の番号が表示されませんよ、っていうやつなんだけど...」
全て言い終わる前に彼を見ると目が合った。
画面に視線を戻すと彼の顔はより一層険しくなる。
「こんな時間に非通知なんて、おかしい話やんな...」
「10時過ぎだしね」
会社の人のミスで非通知になってたとしたら何度もかかってくるかなとふと思うけど、非常識な時間に掛けてくるような人は思い浮かばない。
きっとLINEで済ませるはずだと画面を見ながら思う。
「あ、切れた」
二人で画面を見つめているとようやく止んだ着信音にほっとする。
非通知の通知が見たくなくて直ぐに消去した。
「警察に言ったら、なんか対処してくれはるんやろか」
「どうだろ。言わないより言っておいた方がマシなのかなぁって思うんだけど」
実際こんなことが自分の身に起こるなんて思ってもいなかった。
どう対処したらいいかわからないけど、とりあえず警察に相談することしか考えられない。
「でも、これで終わりかもしれないし。続くようなら言うことにするね」
「すぐ言うた方がええと思うんやけど」
どうにかできるなら早い方がいいと心配そうな彼は私の頭を撫でた。
「これだけじゃ誰かも分からないし、そこまで長い期間続いてるわけでもないから」
少し様子を見よう?と彼の手を取ると納得していない顔をしている。
「なんかあってからじゃ遅いんやで」
心配、と優しく抱き締められて彼に体重を預ける。
「センラがいるし、大丈夫でしょ」
「帰ってきたらな。でも外におる時はなんもできひんやん。毎日あいつらに交代で送り迎えさせようかな」
「大袈裟な。大丈夫だよ」
「どうせ暇なんやし、Aちゃんの事となると張り切るからきっとやってくれるで」
何かあったらすぐに言ってと心配してくれる三人を思い出して不安な気持ちは少し穏やかになる。
「帰る時は電話してくれるし明るい時間は人も多いし大丈夫だよ」
電話と誰かが見送ってくれるのはまた別だと引かない彼のAちゃんには危機感が足りないという思わぬお説教が始まってしまって寝るのが遅くなってしまった。
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あーりん(プロフ) - lonleyさん» コメントありがとうございます!やっと書き始める事ができたのでのんびりにはなると思いますが読んで頂けると嬉しいです★ (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 気味悪さを表現したかったので、最高の褒め言葉ですwありがとうございます!笑 (2019年7月11日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
lonley - すごくおもしろかったです! 坂田くんver.気になって仕方ありません!! これからも頑張ってください! 応援してます! (2019年7月10日 21時) (レス) id: 39388112b7 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - おかえりってところでゾクってしましたw (2019年7月10日 20時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - もえかさん» コメントありがとうございます!どちらも読んで頂けて嬉しいです( ;__; )今後もよろしくお願いします! (2019年7月7日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月19日 6時