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すっかりいつも通りになった三人にこっそり心配されたことが一つあった。
土曜日の今日、明日は満月だけど大丈夫かと一人ずつ彼の目を盗んでわざわざ聞きに来てくれた。
大丈夫だと思うよと言うと、何かあったら絶対すぐ呼んでと心配してくれた。
(今の所前ほど辛そうじゃないなぁ)
ソファでくつろぐ彼はいつも通りで、じっと眺めると何?と首を傾げた。
「何してるの?」
「遊んでるー」
家にあるパソコンを私がいない間使っていいかと聞かれいいよと答えたから、最近はパソコンを使って何かしているらしい。
見せてと言ってもまだだめと見せてくれない。
楽しそうだからいいか、と指先を動かし続ける彼の横顔を見つめる。
おやつ時の正午、彼が寝室に行くと突然言い出して驚いた私は携帯に集中していた視線を彼に向けた。
(辛そう...)
肩で息をするような彼に大丈夫?と声をかけると首を振られてしまった。
一人になりたいと言われてしばらく我慢したけど、どうしても気になって寝室に向かってしまう。
静かに開けた寝室のドアから彼の様子を見ても、布団を被っていてよくわからない。
この間のように一人で夕食を済ませてお風呂に入り寝室へ向かうと、私に向けられた瞳はいつもと違う琥珀色になっていた。
(この間と一緒だ...)
辛そうに顰められた眉と息遣いの様子がいつもの彼じゃない。
「センラ」
瞳を閉じた彼の髪を撫でると腕を掴まれてベットに沈められてしまった。
辛そうに私を見つめる彼に、どうしたらいい?と聞くと別々に寝ようと言う。
「、、、やだ」
「わがまま言わんといて。何するかわからんから」
瞳の色が変わった彼は自制が利かなくなるとこの間の事でわかった。
それでも私の嫌な事はしないでおこうと必死な彼に出来ることはないかと探してしまう。
「いいよ」
「...わかって言うてるん?」
何するかわからんのやで、と彼が顔を歪める。
「センラになら何されてもいいよ」
私を見下ろす彼に笑うと、小さく笑った気がした。
「今なら逃げれたのに。あほやなぁ、どうなっても知らんで」
すぐに唇を割って入ってきた温かい舌と身体を触る少し冷たい手がアンバランスで混乱する。
息苦しくて呼吸がうまくできず彼の肩をやんわり押しても唇を離すことも、身体を離すことも許してくれなかった。
「可愛い、、、」
もう無理だとお願いしてもすぐに唇は塞がれて言葉にならない。
日が昇るまで彼は私を離さなかった。
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あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» 発狂だなんてありがとうございますw出来る時になるべく更新するようにしているのでこれからもお付き合いお願い致します★ (2019年6月18日 5時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
ふらわぁ(プロフ) - もう、更新早めで発狂してました (2019年6月17日 19時) (レス) id: c190ba3ed4 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 白雨さん» 白雨様ー!ありがとうございます!m(_ _)mキャラクター崩壊も甚だしいですがこれからもよろしくお願い致します! (2019年6月17日 16時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
白雨(プロフ) - 赤星になりましたね!おめでとうございます〜!これからの展開も楽しみにしてます(*´艸`) (2019年6月17日 11時) (レス) id: 7f0c200b78 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ふらわぁさん» ありがとうございます!深夜更新が多いのでご迷惑をおかけするかもしれませんがお付き合いよろしくお願いしますm(_ _)m (2019年6月16日 23時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年6月9日 16時