妖たちと暮らす家【浦島坂田船】

sideセンラ ページ36

いつも通りにならない彼女はどこか上の空で心配だから早めに寝かせようとテレビを消すと凄くびっくりしていた。

ちゃんと寝るのか心配で彼女の顔を眺めていると寝ないのかという。

(寝なくても大丈夫なんやけどな)

どこまでも人間扱いしてくれる可愛い彼女に笑いが込み上げてくる。

小さかった時、寝る時は目を閉じるんだよとやってくれたように彼女の目を覆うと素直に目を閉じてくれた。



ちゃんと寝れているのか心配で彼女が寝ても顔を眺めていた。
暗闇の方が自分にはよく見える。

さらさらと長い髪を撫でても起きる様子は無くて安心する。

一定の寝息をたてる彼女を眺めていると時々息苦しそうに身じろいでいる。

起こそうか迷っていると彼女の目が薄く開いて寝る様子が無い。
どうしたのかと心配になって髪を撫でるとこっちを向いてくれた。

また泣かないか心配で彼女の目の周りに触れる。

不安そうな彼女の顔に言葉をかけれなくてイライラする。
出来ることなら何でもするから頼って欲しい。
声をかけることが出来ずに彼女の手を握った。


「ずーっと一緒にいてね」

か細い彼女の声が頭を反芻する。
そんなの、こっちはもうそのつもりなのに。
彼女の手を離すつもりなんて毛頭ない。

言葉がかけれない分、態度で示すしかできない。

彼女の小さい身体は少し力を入れただけで簡単に引き寄せる事が出来てちゃんと食べてるのにこんなに軽いのかと驚く。

絶対に離れてやらないという気持ちで強く抱き締めると、強く抱き締めすぎたのか背中を叩かれた。

顔を上げて見つめてくる彼女の顔があまりにも可愛くて今まで感じたことの無い気持ちになる。

テレビで見た、可愛いからと男が女にしていたことを自分も彼女にしてみたらもっと可愛い顔になってどうしていいかわからなくなってもう一度強く抱き締めた。

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あんなに泣いていたのに今日も会社とやらに行くらしい。
忙しなく準備をする彼女を見てタイミングを計るけど泣いた顔が忘れられなくてどうも今日はいやだと言えない。

もう行くと言うので玄関まで着いていくと彼女の機嫌がどうもよろしくない気がする。

行ってくるねと告げる唇が尖っている。
可愛いなぁ、と思いながらふとテレビで見た唇を合わせていた男女を思い出す。

おでこだけであんな顔をされたから、我慢しようと気持ちを押し殺すのに彼女を抱き締めてごまかした。

泣きたくなったらすぐに帰ってくればいいよ。


(いってらっしゃい)


センラside-END-

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