sideセンラ ページ35
毎日彼女のいない時間は退屈で今まで自分はどうしていたっけと昔の生活を思い出す。
言葉は出ないけど歌う声は仲間が近くにくれば聞こえるはずと夜が近くなると歌った。
その日は帰ってきた時からいつもと様子が違った。
ガチャガチャと荒々しく玄関は開けられたし目に飛び込んできた彼女の顔がいつもと違った。
さみしかったと言うといつもは優しくごめんねと背中を撫でて宥めてくれるのに、背中に腕を回されたのは初めてだった。
ぐすぐすと聞こえるこれを、何か知ってる。
(泣いてる？)
顔を見たくて離そうとしても離してくれない。
なんでこんなときに声が出ないんだと憤りを感じる。
どうしたの、何があったの、話して。
色々思うのに言葉にならない。
悔しい。
とにかく泣き止んで欲しくて背中を撫でたり髪を撫でて落ち着くのを待った。
抱き締められる力が抜けたのをいいことに両手で少し無理に顔を上げさせると初めて見る彼女の泣き顔。
小さい顔を指で拭っても間に合わない位次々に涙は零れていてこんなに小さい身体でこんなに泣いて大丈夫なのかと不安になる。
じっと顔を見つめてくる彼女の言葉を待っている間も心配で背中に回した腕を頭に置き髪を撫で続けたら、小さく息を吐いて笑ってくれた。
会社で嫌な事があったならもう行かなきゃいい。
ずっとここに居てくれたらそんな思いしなくて済む。
呪う力なんて自分には持ってないけど仲間総出でその会社とかいうやつを壊してやろうか。
もう泣いて欲しくなくて、力いっぱい彼女を抱き締めた。
いつもは甘えるドライヤーとやらの時間もいつも通りにしていいものかと悩む。
自分のいない所で泣いてなかったか心配で彼女の顔を見続けたらいつも通り笑ってくれて安心した。
この時間を奪われるなら会社なんか行かせず本当に閉じ込めてやろうかとも思う。
泣き止みはしたもののいつもより食事の量が少ない。
人間はすぐ死んでしまうからちゃんと食べてくれないと不安になる。
俺の食事より自分の心配をして欲しい。
別に食べなくてもこっちは大丈夫なんだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 977人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おかゆ*(プロフ) - 番外編ありがとうございます！小センラさん大好きだったので悶えました……無理しない程度に頑張ってください (2019年10月9日 12時) (
レス) id: 8572672a4d (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - 言葉喋るショタより何も喋らずに言葉理解してなかったり仕草で感情表現するショタの方が天使よな。まぁつまり神ってことよ。何のご褒美ですか。平日の夜中4時ににやけながらこれ読むってただの変態なんですけど。 (2019年6月6日 4時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - あのんさん» ありがとうございます！コメント頂けると励みになります(;o;)これからも楽しんで頂けると嬉しいです！ (2019年5月26日 20時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あのん(プロフ) - とても好きです！！読む度癒やされてます！ (2019年5月26日 20時) (レス) id: 2726eacb2c (このIDを非表示/違反報告)
月希(プロフ) - あーりんさん» 全然！！気長に待ってます！！ (2019年5月22日 0時) (レス) id: 106e1f2421 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーりん | 作成日時：2019年5月17日 21時
