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気づくこと。10 ページ10

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Aだ。Aがいた。あれは紛れもなくAだった。




「どこに行った。アイツは」



なんで江戸から出ていこうとしたんだ。俺は頭を抱え座り込んだ。




「屯所に行くぞ。とりあえずそこで話す」




土方くんは、俺の腕を引っ張ると車に乗せた。
車の揺れに眠たくなる。ここ二年、全く寝れなかった。寝れたとしても三時間ほど。俺は、Aのことを思いながら眠りについた。







「起きろ...はぁ、運んでやるか」




辛そうな顔をして眠る万事屋をおぶる。とても軽かった。こいつ、何にも食ってねぇのかよ。どこまで似てるんだか、お前らカップルは...



「山崎、コイツを寝かせる布団用意しろ」




「ありゃ、旦那!?...うわ、めっちゃやつれてません?」




「似てるよな、Aも万事屋も」



Aもどんどん痩せてったからな...何とかして早めに会わせなければ。








「...ん、起きたか」




目が覚めると、土方くんが目の前にいた。俺は起き上がる。腕に違和感を覚え、目をやると、点滴に繋がれていた。「なんで、点滴...」「お前、栄養取れよ。死ぬぞ」医者を呼んでくれていたらしい。



「...Aの夢を見るんだ。寝る度に...辛い。お前のせいでって毎日俺を責める」



俺は普段溢さない不安をこぼしていた。



「俺、まじで酷いことしちまったよ、取り返しつくのか?二年という長い期間、お前らにも迷惑かけちまった」



「...取り返すためにAを追いかけてたんだろ。応援してる。頑張れよ。...Aは尾張にいる」




尾張......何でそんな遠いところまで...尾張に行こう。何日かかってもいい。Aをもう一回見て、この言葉を伝えてやらなきゃ。








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作者名: | 作成日時:2021年4月9日 16時

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