気づくこと。6 ページ6
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「か、買い出しっ!いっ、行ってきます!」
飛び出して屯所を出ていった女。
「あっぶね、本気で手ェ出すとこだった」
俺の恋はどうしてこうも実らねぇんだ。空を見上げた。万事屋にいつ頃になったら会おうか。まだ二年は必要かな。
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「ってことで二年お前と顔を会わせなかった」
俺の女を取っていった張本人が今目の前にいる。前々から気づいてたけど、やっぱりAに惚れてやがった。
「あっそ、で、なに。Aは俺のことなんか言ってるか。その、...拒絶...してねぇか」
「ふとしたときにお前を思い出してたぞ。...なんで俺が惚れてる女の好きな男のこと教えてもらわなきゃいけねーんだよ...はぁ、聞いてきてやるから待っとけ」
こういう時は頼りになるな、土方くん。「お前はAのことばっか気にしてやがるが、自分のことはなんとも思わねーのかよ」そんなことぐれェ思ってる。思って後悔してる。
「銀さんったら、毎日5回は後悔してますよ、愛してるぐらい言えばよかった、好きって言えばよかったって」
新八が、三者面談で要らないことばっかを話すお母さんのようにペラペラと話した。
「そうか...まぁ、それが聞けてよかったよ」
もう一回、あの笑顔が見たい。照れた笑みが見たい。Aのそんな顔を毎日拝んでる土方が恨めしい。
「Aは...帰ってくるのか。...万事屋に」
俺の拗らせたヘタレのせいで俺らの人生滅茶苦茶だ。こりゃ、Aが帰ってきたときに愛してる位言えてねーと。
「...Aに伝えてくれるか、愛してるって。言えてなくてごめんって。辛い思いさせて...ご、めんっ...」
Aへの懺悔を垂れていると自然と涙が出てきやがる。たくさん泣いたせいか、目は充血していて、目を擦るととても痛い。でもAはこれ以上の苦痛を味わってるとなると、堪えられなかった。
「すまね...っ、Aっあ...っひっ」
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私は土方さんの提案で万事屋の玄関の前で待機していた。話声が聞こえる。耳を澄ませて聞くと、銀時が私に対して泣きながら懺悔するのが聞こえた。
「...っ、」
なんでそこで、俺が伝えてやらァってなんないわけ。意味わかんない。抱き締めてよ、好きって言ってよ、キスしてよ。
そう思う私は、我儘ですか。
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作者名:す | 作成日時:2021年4月9日 16時