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無くしたときに。3 ページ3

「待てよっ!Aー!」



雨のなか傘も差さずに走る。男と女の差なのだろうか、私は銀時にすぐ捕まった。銀時は近くの壁に私を押し付ける。腕を掴んで、もう離すもんかとぎゅ、と力を入れていた。

私は、目から涙が出ていた。



「...泣いてる?」







なんで、気づかないの。







「ねぇ、銀時...私のこと愛してる?」





泣きながらそう聞くと、銀時はバツの悪い顔をする。愛してないのなら、引き留めないでよ。やめてよ、







ーーーーーー勘違いしちゃうから







「なんで......なの」




「なんで私のこと愛してるって言ってくれないの!嫌だ!そんなの!愛してないのなら、早く手放してよ!辛いの!好きとすらも言ってくれないのなんで!離して!もう嫌だ!なのにいざ出てくとなると引き留めるのはなんで?やめてよ!勘違いしちゃうじゃない!!!」





泣きながらそう銀時に怒鳴り付けた。泣きすぎて吐きそうになる。ひゅ、ひゅ、と音がする。







「おい」






ドスの効いた声がする。声のする方を向くと、とても怒っている土方さんがいた。







「っうぅ、土方さ...っ、助けっ...て...いやだぁ、」







私は膝から崩れ落ちる。銀時がそれを支えた。今まで溜めてきたものを吐き出したせいか、銀時は何も言えずに固まっていた。瞳には何も写していなかった。







「万事屋、手ェ離せよ」







土方さんの声に抵抗するように、銀時はハッ、とすると、ぎゅ、と力を込めた。








「嫌だ...離して。一回、離れよ...」









私が小さく呟き、ふ、と力無く笑った。


その声が届いたのか、銀時は目尻に涙を溜めた。









銀時は、









ーーーーーー手を離した。









土方さんが銀時を一発殴った。それでも銀時は抵抗しなかった。土方さんは私をおんぶして傘を差すと、屯所まで歩いた。





銀時はその場に膝をつき、長時間動かなかった。









.。

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作者名: | 作成日時:2021年4月9日 16時

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