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「ちょっと、何処いくの ?」
私の質問になんて御構い無しにずんずん進む山田くん。
あっという間に駅の改札口まできて
いつの間に買っておいたのか、
キップを渡されて、早く来い
と急かされる。
なんなのよ。
私はむすっとしながらも改札を通って
山田くんの後をついていった。
電車に乗り込んで、山田くんの隣に座って、
もう本当にこの人には振り回されてばっかり。
「どこ行くの?」
「すぐ着く」
「いや、そうじゃなくてさ」
「うるっせぇな 」
「チョット。今日、私の誕生日だからお母さんが家でケーキ用意してくれて ..」
「知ってるって。誕生日くらいさぁ」
誕生日、知ってたの?
ビックリして山田くんを見ると、
私の視線を鬱陶しそうに払う。
あ、もしかして。
山田くんの好きな子の誕生日と私、一緒だったり?
彼女の代わり的な、いつものやつ?
「私、山田くんの彼女の身代わりじゃないよ」
「・・・」
そう呟くと、
山田くんが唇を噛み締めた。
ギリっと手を握るのが見えて、
あれ 、なんかまずったかも
と思った。
「頼むから、今日は黙って身代わりになってよ」
また 泣きそうな顔。
きっと、山田くんは
凄く好きなんだなぁ、その子のこと。
好きだけど、振り向いてもらえないのかな。
「....どうして私なの」
そう聞くと、山田くんは瞼を閉じた。
「...言ったら、お前泣くよ」
山田くんが
そのまま俯いて、
何も聞くなと 、まるでそう言うかのように
硬く唇を閉じた。
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作者名:... | 作成日時:2017年12月30日 22時