°88° ページ39
ジャンの知らせに引き続き、ミカサ話を聞かされオレは立て続けに二発頭を撃ち抜かれたような気分だった
仲間の死、そして自分の中の得体の知れないもの
身体の全ての機能が狂ってしまったとすら思った
うまく唾も飲み込めない
耳がキーンと冷たい音を立てる
オレの為に命が使われる
誰のものでも見境なく、使われる
怖いと思った
幾度となく感じてきた恐怖ではない
脊髄を舐め上げられるような冷えた恐怖だ
「頼むぞ？」
ジャンのいっぱいいっぱいな表情になんとか声を絞り出した
指が引きつるように震える
鋭い笛が聞こえ、ミカサやアルミンか振り返りながら班に戻っていく
オレもよろめくようにその場を離れようとし、背中を思い切り叩かれてつんのめった
「酷い顔だねぇ」
楽しそうに笑う目と外の光に煌く黒髪が見えた
「A…」
「いままであんなに強引だったくせに何を今更怖気付いてるのさ
情けないね」
Aのいつもの冷めた目を見ていると徐々に身体の感覚が戻ってきた
今度はうまく唾を飲み込める
「死んだらそいつが弱かっただけの話。いちいち命の責任を取ろうなんておこがましいよ」
死にたくなきゃ調査兵団入らなきゃいいんだから、と口角を上げる
「身もふたもない…」
思わず呟くと、ずいぶん難しい言葉覚えたねぇとからかわれた
身体はかなり楽になったがまだ指先は冷たい
そんな様子のオレを見てAは言った
「分かった、じゃあエレンが無事に帰ってきたら前の質問に答えてあげる」
前の質問
「…好きなやつ、の話か？」
半信半疑で尋ねるとちょっとだけ照れ臭そうに笑った
「じゃあね」
そう言ってAが背を向ける
「おう、後でな」
オレも手を振った
黒髪が風になびいた
冷めたようで温かい目が名残惜しい
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 199人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【進撃】人類最強に嫁（とつ）いだ私が、毎日振り回されてる件について。第4幕 人類最強と私の恋愛事情―番外編―【進撃】【リヴァイ】 進撃の巨人【リヴァイ】 リヴァイを驚嘆させたのは人類最強の娘でしたpart４もっと見る
「進撃の巨人」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すず(プロフ) - ゆっきーさん» コメントありがとうございます！終わっちゃうんです…私も寂しいですが、最後までお付き合いいただけたら嬉しいです！ (2020年3月5日 19時) (
レス) id: 5963ed58b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー - え、終わっちゃうんですか、、、寂しい(；ω；)最後まで頑張ってください！！ (2020年3月4日 22時) (レス) id: 6a0acf7ad8 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - ルミさん» コメントありがとうございます！夢主はかなりズレた性格なので書くのがなかなか難しくて‥笑 そう言っていただけると嬉しいです！ (2018年8月8日 23時) (レス) id: 5963ed58b4 (このIDを非表示/違反報告)
ルミ(プロフ) - この小説、大好きです！特に夢主ちゃんのマイペースな性格が可愛くて、、、応援しています！頑張ってください (2018年8月8日 18時) (レス) id: 3f807c065c (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 沙羅さん» コメントありがとうー！！嬉しすぎる( ；∀；)忙しくて沙羅ちゃんの小説も読めてない‥‥テスト終わったら一気読みだな！お互いに頑張ろう！！ (2017年9月14日 19時) (レス) id: 5963ed58b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すず | 作成日時：2017年8月24日 16時
