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杞憂 ページ49

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「Aさん……!」






あの後、私とパンダくんと狗巻くんが揃って真希ちゃんにしごかれていると、いつもの可愛らしい制服に身を包んだ野薔薇ちゃんがやって来た。


彼女の綺麗な飴色の瞳は、どこか心配そうに私を見据えている。






『ごめんね野薔薇ちゃん、心配かけちゃって。でも、もう大丈夫だから』


「本当に?無理してないですか」


『……うん、平気だよ』






野薔薇ちゃんは優しい。確かに、少し口が悪い所もあるかもしれないけど、それも愛嬌。


根が優しいからこそ、まだ知り合って日の浅い悠仁の死に心を痛めてくれたのだ。


そんな彼女に、いつまでも要らない心配を賭けさせるのも悪いだろう。






「Aさん、嘘だけはつかないでね。約束よ?」






こちらを覗き込みながら言った野薔薇ちゃんの声に、私は微笑みながら頷いた。


私の周りには、頼りになる同級生に加えて頼もしい後輩までいるらしい。

これまで知らなかった世界に足を踏み込むことになって一時はどうなるかと思ったけど、結局それも無駄な心配だったようだ。


周りから見れば一癖も二癖もあるような環境。でも今はそんなこの場所が私の心の在処。






『……あれ、そう言えば伏黒くんは?野薔薇ちゃんとは別行動だったんだ』


「ああ、アイツなら“やる事あるから先行ってろ”とか何とか言って出掛けましたよ。Aさん、アイツに何か用でもあったの?」


『ううん、別に。少し気になっただけだから』






……用事、と言うよりは。なんと言うか、確認みたいな。


彼も色々考えていることがあるはずだし、何より迷惑をかけた。


だから少しでも、その重荷を軽くしてあげられたらと思ったのだけれど。






「まあ恵のことだし、先に始めてりゃそのうち来んだろ。心配すんな」


『……うん、そうだね』






不意に投げかけられた真希ちゃんの言葉を聞き、私は軽く首を振りながら答える。


とにかく、今は「交流会」に向けての態勢を整えなければならないのだ。



……それに、私にもやらなければならないことが沢山ある。



これ以上周りに迷惑をかけないためにも、私はヤツとの縛りを果たすための力を付けないといけない。






《……ああ、そうだ》










________“もっと貪欲に俺を望め、小娘”









……内側で響くその声に、飲み込まれることのないように。







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いか焼き - さ い こ お です!この話マジですこ… (2022年7月4日 2時) (レス) @page50 id: 5bb1efd8a4 (このIDを非表示/違反報告)
すみれちゃん - 続編決定…!ありがとうございます泣 (2022年2月27日 1時) (レス) @page50 id: 1871179020 (このIDを非表示/違反報告)
AG2(プロフ) - タイトルに目を惹かれ読んでみたらめちゃくちゃ面白かったです……!今後どうなるかとても楽しみ……!更新頑張ってください!! (2022年2月8日 7時) (レス) id: 382d4af167 (このIDを非表示/違反報告)
ハリネコ - 更新してくださる事が嬉しいですっ!これからも、作者さんのペースで頑張って下さい! (2022年2月3日 23時) (レス) @page27 id: 690aee62a7 (このIDを非表示/違反報告)
mithukoaaa0306(プロフ) - 面白すぎて一気に読んでしまいました! (2022年1月30日 2時) (レス) @page8 id: 96b8b42efc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年1月29日 15時

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