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拾陸 ページ18

「……宇髄さん、あまり屋敷の中で騒がないでください」



大声をあげて部屋に入ってくるなり、私の肩を持ってああだこうだと喋っていた大柄の男。

彼はしのぶちゃんの諭すような言葉に正気を戻したのか、その大きな瞳を見開くようにして私の顔をじっと見つめる。

そしてもう一度肩を握り直すようにぐっと力を入れると、閉じていた口を再び開いた。



「お館様から聞いたぞ!お前、里長から派手な縁談話を持ち寄られたんだってなあ!」

『……もしかして、天元さんはそれを確認するために態々ここまでいらっしゃったんですか?』

「はあ?当たり前だろ。こんな面白いことなんざ、生きてるうちにそう何度も起こらねえからな」



そう言って気持ち良いくらいの笑顔を浮かべた彼、宇髄天元は、私の現役時代からの友人の一人だ。

基本的にいつもおおらかで豪快な人間のためその姿を見ていて飽きることはないが、無駄に声が大きいところは玉に瑕である。

それに加えて噂話には人一倍敏感で、この調子だと今も昔もその性格は変わっていないらしい。



「……で、どうするんだよ。請けるのか?その話」



好奇心を丸出しにした目で覗かれると、なんとも言えない気持ちになるのはなぜだろう。

私は前のめりになる天元さんの胸元を押しこくりながら、どうしたものかと考える。しかし、これという策など浮かばず。

……そもそも、お館様には縁談を請ける気がない主旨の話を文に綴って送ったはずなのだが。



「Aさん、縁談ってどういうことですか?……私はそんなお話、一度も聞いていませんよ」

『ち、違うの……今さっき言おうとしてたんだけど、折を逃しちゃったから』



どうやら天元さんのおかげで、しのぶちゃんにもあらぬ誤解をされてしまったらしい。

横から向けられる怪訝そうな視線が突き刺さり、まるで蜂に刺されたかのように心が痛む。



『確かに……縁談を持ちかけられたのは事実ですが、お話を請ける気なんてさらさらありませんよ』

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設定タグ:鬼滅の刃 , 鋼鐵塚蛍   
作品ジャンル:恋愛
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雨と雫(プロフ) - あゝもう文才が神ですね!?更新頑張ってください!個人的に夢主ちゃん可愛いな (7月1日 19時) (レス) @page6 id: 312a1378ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2023年7月1日 16時

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