131話 ページ10
『私がいなくなる?何ですか、それ』
全く意味が分からない。
だが、こんな話が出ている以上、そう取られかねない何かをしたのだろう。
とはいえ……
『私、そんなことを言った記憶が全くないのですが……』
「え、ならAちゃんは学園を出て行かないの?」
『……というか、私に出て行って欲しいんですか?』
「そんなわけないだろ!」
久々知さんが言い、他の忍たまたちも同調するように頷いている。
「私たちはお前に出て行って欲しいなんて全く思っていない。どうしてそんなことを言うんだ」
冗談で言ったつもりだったのだが……本気で受け取ってしまったみたいだ。
『あんまり出て行く出て行く言われるから、逆に聞いてみたくなっただけですよ。で、何でこんな噂が出回っているんですか?』
「乱太郎に聞いたんです」
庄左ヱ門くんが代表して話し出す。
乱太郎くん?
「Aさんが六年生と話していて、学園を出て行く。とか覚悟がある。とか言っていたって乱太郎が……」
……待てよ。
それなら覚えがある。
昨日、河野さんと話した後のことだ。
『でも、あれは……』
「Aさーん!」
言いかけたとき、乱太郎くんの声が聞こえてきた。
噂をすれば、だ。
「Aさんごめんなさい!私、はやとちりしちゃって……!」
荒く呼吸をしながら、早口に言う。
『落ち着いてからで大丈夫ですよ』
しばらく呼吸を整えてから彼は話し始めた。
曰く、偶然近くを歩いていたら聞こえただけらしく、遠かったのもあり、一部しか聞こえなかったそうだ。
『それで、私が出て行くと思ったと』
「はい。本当にごめんなさい……」
『大丈夫ですよ。わざとではないんでしょう?それなら、全く気にしません』
乱太郎くんの頭に手を置き、優しく撫でる。
彼は、くすぐったそうにはにかんでいた。
『これで、今度こそ……』
一件落着と言いかけたところで、見覚えのあるピンク色が視界に入った。
そちらに目を向けると、河野さんがおぼつかない足取りで歩いている。
しかも……泣いてる?
『河野さん?何かあったんですか?』
放っておけず近寄って声をかけると、間があったのちに
「あ……天女様……こんなところまで来ていたんですね」
と返事をした。
これは、とても普通の状態とは言えない。
私は忍たまたちに誤解が解けたので帰りたければ帰ってもいいと伝え、彼女を部屋に招き入れた。
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ハル - 凄く面白かったです!大変な時期だと思いますが、これからも応援してます‼︎ (3月22日 19時) (レス) id: 0fe5dcb2f7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し46937号(プロフ) - 初めまして!素敵な夢小説をありがとうございます!もしよければ忍術学園全員出動の段書いていただけませんか? (2月27日 22時) (レス) id: f091a3aa7a (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - はじめまして。天女になった蝶柱第1章から見てます。リクエストなんですけどヒロインちゃんと1年は組がお茶会を開きそれに1年い組とろ組とそれぞれのクラスの先生が参加するが見たいです。 (2023年3月6日 18時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 蘭檸さん» ありがとうございます!亀更新ですが、これからも少しずつ書いていくのでぜひ読んでくださると嬉しいです! (2023年1月14日 18時) (レス) id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
蘭檸(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました!更新楽しみにしてます! (2023年1月2日 16時) (レス) @page16 id: 9728c679fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗羅 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aji391/
作成日時:2022年4月25日 22時