145話 ページ24
〜アキside〜
私は、臆病で意地っ張りだ。
いつも学園のために動いている天女を未だ信じられずにいる。
上級生のことだって、本当はもう仲直りしてもいいと思っているのに、実際に目の前にすると、ついきつい言葉を放ってしまう。
しまいには、サクラにまで当たってしまう始末だ。
なにが「くノ一の才能がない」だ。
感情の制御もままならないなんて、私の方がよっぽどくノ一失格じゃないか。
「……何よ、これっ……。こんなの、私が悪いみたいじゃない……っ」
それなのに、出てくるのは自分を守るような言葉ばかり。
そんな自分に心底嫌気がさしてくる。
これは自分勝手な私に神様が与えた罰なんだ。
そう自分を無理矢理納得させようとしたとき、身体がふわっと包み込まれた。
思わず顔をあげると、天女が私を抱きしめていた。
「あなたは悪くない……。なにも悪くないです……。どうか、自分を責めないで」
そう言う天女の表情は今にも泣き出しそうだ。
「な……んで……。だって、私は……」
「私への態度がきつかったのは、親友や後輩を守りたいから。上級生への言動だって同じです」
荒んだ心が浄化されていくような感覚に陥った。
「さっき、サクラちゃんに強気な態度をとり続けたのも、彼女が心配だから。そうでしょう?そんな親友思いなあなたが悪いなんて、そんなはずないじゃないですか……!」
……この天女は、なんて優しいんだろう
上級生がこの子を慕う理由がなんとなく分かった気がする。
「……もう大丈夫よ。あなた、お節介ね」
そう言うと、天女は私の身体からパッと手を離し、後ろに飛び退いた。
「す、すみません……」
見るからに申し訳なさそうに謝る彼女の肩をぽんと叩いた。
「違うわ。感謝してるのよ。私、天邪鬼だから」
私はサクラや上級生の方に向き直り、頭を下げる。
「サクラ、ごめんなさい。感情に任せて言いすぎたわ。……それと、上級生」
私がそう言った瞬間、彼らは身を強張らせる。
「なにもそんなに固くならなくても……。今までのこと、水に流してあげる。あなたたちだって好きでやったわけじゃないだろうしね」
サクラや上級生がほっと肩を下ろすのを見届けてから天女の方を向く。
「あと、私、名字呼び好きじゃないから。これからは名前で呼んでよね。____A」
少し気恥ずかしく思いながらそう言うと、Aは顔を輝かせた。
割と表情に出やすい子だったのね。
「はい、アキちゃん!」
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ハル - 凄く面白かったです!大変な時期だと思いますが、これからも応援してます‼︎ (3月22日 19時) (レス) id: 0fe5dcb2f7 (このIDを非表示/違反報告)
名無し46937号(プロフ) - 初めまして!素敵な夢小説をありがとうございます!もしよければ忍術学園全員出動の段書いていただけませんか? (2月27日 22時) (レス) id: f091a3aa7a (このIDを非表示/違反報告)
kanayamamoto112(プロフ) - はじめまして。天女になった蝶柱第1章から見てます。リクエストなんですけどヒロインちゃんと1年は組がお茶会を開きそれに1年い組とろ組とそれぞれのクラスの先生が参加するが見たいです。 (2023年3月6日 18時) (レス) id: 763c9aa7d5 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 蘭檸さん» ありがとうございます!亀更新ですが、これからも少しずつ書いていくのでぜひ読んでくださると嬉しいです! (2023年1月14日 18時) (レス) id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
蘭檸(プロフ) - 面白くて一気に読んでしまいました!更新楽しみにしてます! (2023年1月2日 16時) (レス) @page16 id: 9728c679fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗羅 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/aji391/
作成日時:2022年4月25日 22時